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「キャンベルさん、今日も寝れないんですか？」
「……A、怯えていたでしょう」
イライの言葉を無視して告げられた言葉は、彼が今は冷静だと示すのには十分だった。
イライは一旦言葉を止め、頷くことで肯定した。
あの時のAから感じられたのは恐怖と困惑と怯え、それから興味だった。
「そっか……」
キャンベルは皮肉気に笑うと、ポツリポツリと語りだした。
「僕はその、大人として彼女にしてはいけないことをした。Aとして成長しようとしている彼女を、無理やり、変化のない世界へ連れ込んだ」
「そうだね」
「後悔もしているし、悪いと思ってる……。でも、それ以上に……僕は、僕としてAに傍に居てほしいと思ったんだ」
「これはイケナイこと？」と呟いたキャンベルにイライは返事をすることが出来ない。
人を愛するうえで、相手を求めるという行為には自分も覚えがある。たとえ相手にその気がなかったとしても、自分にとっての相手の存在は歯止めが利かないほどに大きくなってゆく。
気づいたときには手遅れだと、イライ自身はそう感じている。
「綺麗な女性を見て欲求を覚えたり、酒場の女と恋人ごっこしたりすることは何度でもあるよ」
「……キャンベルさん、手慣れてるんですね」
「別に慣れてないよ。仕事と同じ感覚だったから」
キャンベルは空へ向かって手を伸ばし、月を掴むように動かす。
「……違うんだって、今なら理解できる。僕のAに対する感情は、明らかに異常だ」
そこまで言うと、彼は腕を引っ込めた。僕の方を見て、引き攣ったような笑みを見せる。
僕が何も言えずに黙っていると、彼は「オヤスミ。明日、彼女に謝るよ」と言って部屋の中へと戻っていった。
キャンベルがペラペラと自分のことを話すのはこれが初めてだ。自分のパーソナルスペースへ他者の侵入を許していないのかと思っていたが、彼は必要がなかったから自身のことを話していなかっただけなのかもしれない。
「……おやすみなさい、キャンベルさん」
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トバリ - 蜜月さん» お楽しみいただけたようで、何よりでした。ご縁があれば、また。 (2020年11月9日 21時) (
レス) id: e428776eb9 (このIDを非表示/違反報告)
蜜月(プロフ) - 完結おめでとうございます！更新を毎回楽しみにしていた身としては寂しいような嬉しいような気持ちで一杯です笑 作者様の書くノートン君が好きでした。次回作も楽しみにしてます。お疲れ様でした！ (2020年11月6日 23時) (レス) id: 20a9fa7637 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：トバリ | 作成日時：2020年10月10日 18時
