原動力 ページ46
Takanori.I
深夜に何とか家に帰ると、リビングでAがミルクをあげてた。
『おかえり〜』
「ただいま。ミルク？」
『うん』
その様子を見た俺は、手洗いうがいを済ませて、ラグに座った。
ミルクを必死に吸う響輝の頬に手を伸ばすと柔らかくて。
「パパ帰って来たよ」
『さっきおかえり〜したもんね〜』
不思議と子供を見てると、疲れが癒される。
ボーッとミルクを飲み終わるのを見てると、Aは哺乳瓶を置いた。
『じゃ、今はパパにゲップお願いしよっかな』
「いいの？」
『いやアンタ親だから良いも悪いもクソもあるか』
「はいやります！」
まだ首の据わってない響輝の頭を肩に乗せるように抱っこして、
背中を優しく叩く。
『じゃ、ちょっと御手洗行って哺乳瓶洗うね。
ゲップしたらソファーに寝かせて、お風呂行ってていいから』
「うん」
Aにはそう言われたけど、俺は我が子とじゃれる時間も欲しい。
ゲップしたのを確認した俺は、響輝を横抱きに変えて立ち上がる。
「いつも一緒に居られないけど、パパのこと忘れんなよ〜」
今日、送ってもらった動画が凄く嬉しかった。
あの時ほどコブラって名前が嬉しかったことない。
『お兄さん寝なくていいの？』
「寝るよ」
取り敢えず明日も朝からだから、惜しみながらAに響輝を預けた。
その時、Aの顔に手を当ててキスするのを忘れない。
『っ、ちょっ』
「良いじゃんこれくらい。
じゃ、シャワー浴びて寝るね」
『……うん』
もう日は跨いでる。
本当ならスタジオで寝るのもありだけど、何がなんでも家に帰る。
Aと響輝に会いたいって気持ちが俺の原動力。
「ふぅ、明日も頑張ろ」
休みは無いけど、でも家に帰れば出迎えてくれる家族が居る。
それだけで頑張れるもんだ。
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作者名：雪乃 | 作成日時：2023年7月4日 0時
