家族になって【岩田剛典】 (ページ38)

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ヘルプページ38

妊娠八ヶ月。

私は仕事部屋に篭って、産休明けの曲を作ってた。

「COME BACK」っていうタイトルを組みたいって言われたから、

それに合わせて選曲とアルバム曲を作るんですけど。

『インスピレーションが湧かないなぁ……』

一人唸ってると、子供がお腹を蹴った。

その子の元気さに、毎日私が元気をもらってる。

『元気に生まれてね』

毎日、お腹を撫でながら呟く。

ちなみに主人は今撮影で一週間都外なので、ぼっちです。

まだ三日目です。

『あー、曲が湧かない。
どうしよ』

おかえり、ただいま。

それらをイメージする曲ってなんだろうと考える。

『……どんなイメージがいいかな』

頭を悩ませてると、着信を知らせた。

画面を見るとやっぱり彼で。

岩田【もしもし、A】

『はーい』

岩田【今電話大丈夫？】

『うん、大丈夫だよ』

岩田【……はぁーーーー】

深いため息を吐かれた。

きっと彼の中の何かが出されたのだろう。

岩田【……若手の女優さんにさ、目付けられてさ】

『うん』

岩田【好意の無い人に向けられる視線が怖い】

『……』

ここまで追い詰められてるのが凄い。

前々から波があったけど、トドメにこれだとメンタルはやられる。

『期間中ずっと一緒なの？』

岩田【そう！ホテルも移動も一緒！】

『マネージャーさんに行った？』

岩田【……言えるわけないじゃん】

『私から連絡しとこうか？
旦那が口説かれてますって』

岩田【え】

『剛典は私を色んなモノから守ってくれるじゃん。
私だってあなたを守りたいって思うよ』

愛する人がここまで追い詰められるなら。

相手が誰だろうと関係無い。

岩田【……】

『そうやってさ、無理だって思い続けてた私に、手を差し伸べたのはあなた』

岩田【A……】

『あの時だって、私のために戦ってくれた。
なら、私も今あなたのために戦うよ』

電話越しに震えた息が聞こえる。

何かを堪えてるんだろう。

男性から女性はセクハラだとか何だとかで成立するけど、

女性から男性に対しては、そう認められることは無い。

岩田【……言ってください】

『任せて。
ってな訳で、マネージャーさんに代わってくれる？』

彼からのヘルプに答えられるこの瞬間が、

嬉しく思っていたりもする。

そんな私はきっと、彼以外愛することは出来ない。

それだけ、彼が私を愛してくれる証拠だ。