家族になって【岩田剛典】 (ページ32)

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それから私達は三代目さんと無事合流。

間もなく新幹線が出発。

私達はマネージャーさんたちのお陰で密集してた。

岩田「え、今日仕事？」

『まさか、明日から大掛かりなのにある訳ない』

岩田「じゃあゆっくりか」

『うん、撮影も減らしたから、今は雑誌とアルバムメイン』

岩田「あ、だから新曲って言ってたんだね」

『そうそうそう』

まさかの車両の半分は愛知公演スタッフ勢に私が加えられて気まずい。

私部外者なのにすみませんって感じ。

岩田「A、また考えてる？」

『……ごめん』

さっきから剛典は私が気にしてることを口にしてくる。

ただ幸いして、責めるような言い方じゃないこと。

岩田「Aの性格は分かるから仕方ないなって思うよ。
でも、Aだけ他人って訳でも無いからね」

登坂「そうだよ坂本。
俺この前言ったじゃん、妹みたいなもんだって」

『………』

登坂「坂本が思ってるより誰も気にしてないよ」

今市「そうだよもっちゃん、気にしないで。
俺らは皆で仲良くしたいだけだから」

前に座ってた今市さんと登坂さんにも言われた。

生憎私はグループの活動をしてないから、その距離感が分からない。

どこまで行っても、私は独りなのだ。

女優として、アーティストとして、私は独り。

苦しい時に支えてくれる人は居ない。

そこまで考えて私はハッとした。

ダメだ、これがマタニティーブルーというやつか。

まるで幽体離脱かのように自分を客観視して、

頑張って平常を取り繕うために深呼吸をする。

『気をつけます』

雰囲気を暗くしないために、それだけ言うと

私は逃げるように窓の景色を見る。

この時、剛典が何かを考えて私を見てたことに気づかなかった。