飲み会とか… ページ26
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ふと、目が覚めるとガチャガチャと音がした。
寝起きで少しボーッとしてたら、体にブランケットが掛けられてて。
『え！？』
「あ、起きた？おはよー」
『あ、おはよう、おかえり』
「ただいま」
いつの間にか寝てた私は、剛典の帰宅に気づけなかった。
ふとスマホを見ると、夕方過ぎで。
『え、早くない？』
「俺言ったじゃん、今日から早く帰れるよ〜って」
『そんな早いって思ってなかった。
ごめん、ご飯まだ作ってない』
「いいよいいよ、まだ夕飯にしては早いし」
私が起き上がってキッチンに入ると、剛典が食器やらを片付けてた。
すると彼は笑った。
「ねぇA」
『ん？』
「何食べたい？」
『……私作るよ？』
「今日は俺が作るよ。
ね、何食べたい？」
『えー……豚しゃぶうどん』
「いいね！
すぐできるから、ほらAは座ってて」
一人暮らししてたというのもあって、剛典も料理はできる。
だから私はその言葉に甘えることにする。
『ありがとう』
「うん」
剛典が笑顔でキッチンに立つのを、食卓テーブルから眺める。
普段は見ない光景。
お互い忙しいから、こうやってゆっくり過ごすのも久々だ。
『剛典』
「んー？」
『剛典はさ、飲み会とか無いの？』
「え？」
『ほら、私が妊娠してから一度もそういうの行ってないじゃん。
もしあるなら行っても大丈夫だよって』
人付き合いとかもあるだろうに。
打ち上げとかあってもソフトドリンクで乾杯してくる彼。
その辺はどうなのかと聞いてみると……。
「飲み会行って、Aとお腹の子供に何かあってからじゃ遅いから。
夫として、父親として、愛してる家族を守りたいと思うじゃん」
思わぬ言葉に私は顔を赤くして、隠した。
剛典の視線を感じる。
「照れてる」
『照れるよそりゃ……。
一応、人付き合いとかあるから、その辺は遠慮しなくていいからね』
「うん、ありがとうA」
キッチン越しに笑い合う私達。
そして剛典は料理の手を進め、私は彼の背中を見つめた。
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作者名：雪乃 | 作成日時：2023年7月4日 0時
