覚悟 ページ18
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時間が経って、リビングで身を寄せ合いながら検査薬を手にした。
二本線があれば陽性。
『裏返していい？』
「待って緊張する」
『ねーえー、はーやーくー』
さっきからこの調子の彼。
けど五分もしない内に決心ついたのか、彼は表情が変わった。
「良いよ、見よう」
『急に変わるね』
「どっちでも覚悟できたから」
彼は頼もしかった。
私はその頼もしさに嬉しくなって、検査薬をひっくり返した。
結果は二本の線がしっかり見えた。
「ってことは……？」
『妊娠、してるね』
私達は涙目になって抱きしめあった。
二人揃って、喜びのあまり泣き出した。
「ありがとう、A」
『っ……こっちこそ』
将来に不安が無いわけじゃない。
けれど、彼となら乗り越えられる気がする。
私達は一旦離れるけど、お互いおでこを合わせた。
「A、良かった」
『何が？』
「Aと結婚して、家族になって、新しい家族を迎えられる。
その事が、凄く幸せで嬉しいって思う」
『……』
「楽しいだけじゃないけど、二人で愛していきたいって思う」
その言葉に私は嬉しくなって、涙が止まらない。
情けなく泣き出した私を、剛典も涙を流しながら抱きしめてくれた。
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「おめでとうございます、妊娠六週目ですね」
産婦人科で検査した結果、しっかりと子供がお腹の中に居た。
先生にエコーの写真を見せてもらう。
「ここにね、小さいけど、二人の赤ちゃんが居るの」
『……っ』
「ご主人は知ってる？」
『はい、検査した時、一緒に見ました』
「そう。なら産む方向で良いのね？」
『はいっ』
「なら改めて、妊娠おめでとうございます」
私は、涙を浮かべながらお礼を述べた。
頂いたエコーの写真を片手に、空いてる片手でお腹を撫でる。
『どうか、無事に産まれてきてね』
岩田さん、と会計で呼ばれた私は、エコー写真を仕舞って立ち上がる。
これから、やる事は沢山だ。
ドキドキしながら車で待っている彼の元へ向かった。
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作者名：雪乃 | 作成日時：2023年7月4日 0時
