影響 ページ17
家に着いた瞬間、剛典はシャワーに向かった。
私は私で、着替えると化粧を落とす。
「あーサッパリした」
『声ひっく』
「いや、本当……まさか飲みに行くって思ってなかったから」
『それは確かにね。
じゃ、今度は私がシャワー行こっかな』
私は下着を持ってそのままお風呂場に向かった。
ダッシュでお風呂を済ませた私は、髪を半乾きになるまで放置することにした。
『あ、剛典寝るなら部屋行きな？』
「んー」
ソファーで剛典が寝落ちしかけてる。
テレビつけっぱなしだし。
『ねぇ剛典、流石にそこで寝るのはやばいよ』
「んー……」
私は剛典を揺すったりする。
彼は起きかけるけど、それまでだ。
『たーかーのーりー』
「A」
『ん？』
「ぎゅーしよ」
『起きてるんかい』
私は苦笑いしながら、剛典が広げた腕に大人しく収まる。
拒否する理由は無いからだ。
「ねぇA」
『ん？』
「……子供欲しいって思わない？」
いつかは来るだろうなって思ってた質問。
きっと、今日TAKAHIROさんと話してて思ったんだろう。
『剛典は、欲しいの？』
「……うん」
『TAKAHIROさんに影響された？』
「否定はしない」
バラエティ番組の笑い声がリビングに響く。
面白そうな内容に反して、私達の話はとても真剣なもので。
「写真見せてもらってさ、咲さんと幸せそうだった。
やっぱり親になって、色々思うところはあるみたいだけど……」
『うん』
「Aに負担ばかりかけるかもしれないけど」
『うん』
「話聞いてて、家族っていいなって思った」
私には分からない家族。
でも、幸せな家庭に憧れがあるのは本音。
「俺に、守らせて欲しい。
Aと、子供も一緒に」
その真剣な声を聞いて、私は決心した。
『ねぇ、試したいものあるんだけどいい？』
「試したいもの？」
『うん』
一旦放して、って手で合図すると、剛典は放してくれた。
私は今日薬局で買ったある物を手に、剛典の所に戻ってきた。
『これ』
「これって……」
『そう。妊娠検査薬』
私は箱を開けた。
『今からこれ、試してくる』
「待って待って待って待って、俺混乱してる。
どういうこと？」
『一ヶ月以上来てないから』
私は決心して、御手洗に向かった。
当たり前のように剛典もついてきた。
「俺待ってるよ？」
『分かったって』
一分あれば分かるそれ。
私は緊張しながら、それで検査を始めた。
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作者名：雪乃 | 作成日時：2023年7月4日 0時
