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「うん。ちゃんと言ってくれてありがとう」
「ごめん…」
「やっぱりあの花屋の店員?」
「…うん」
だよな〜!と言って私に背を向けて
背伸びをした宮近くん
背を向けたまま宮近くんが続けた
「でも」
「?」
「はいそーですか。
ってすぐ諦められるぐらいの好きじゃないよ俺」
「宮近くん……」
「今キッパリ振られたのに
Aちゃん見るとドキドキするし好きだよ」
好きと言われて
心がズキッて傷んだ
「だから…」
「俺が諦めるぐらい幸せになってよ」
「え?」
「それまで俺はAちゃんが好き。
好きでいていい?」
別れたら言ってね〜、なんて
振り返っていつものように
宮近くんが優しく笑った
なんて優しい人なんだろう
「…ありがとう、宮近くん」
泣きそうになる私に
「はい、カバン。
定時とっくに過ぎてるから帰ろ?」
頭をクシャッと撫でられて
泣く隙も与えてくれなかった
ありがとう。
宮近くん
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作者名:いろは | 作成日時:2021年3月8日 23時