チート夢主大戦争【オリジナル】

??? ページ22

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人里離れた天然の樹海、その奥まった場所に位置する小さな建物。低気圧に味気なく染められた、真っ白な空に紛れひっそり佇むドームの数少ない窓には、その外観とは対照に、黒々とした分厚い遮光カーテンが引かれている。


ある種の宗教的な、薄気味悪い外観のこの建造物は、一体何を目的に建設されたのだろうか?老朽化で多少傾いだ入口付近には、何やら書かれた板――所在から察するに、この場のアイデンティティを示す物なのだろう――が立て掛けられているが、旺盛な成長意欲を見せるシダ植物により、その機能を発揮出来ていない。


風景に完璧に溶け込んだドームの中では――イエティの如く不可思議な見た目よりも、更に異様な空気が醸し出されていた。



締め切られ真っ暗な室内に、煌々と照り映える巨大なスクリーンがこれでもかとブルーライトを与えており、確実に目を傷めそうな状況下だ。だが、客席の様なものが無いことから、ここが秘境の映画館でないことは想像がつく。


「ご報告申し上げます……つい先程、邪魔者2名を排除することに成功しました!」


その画面に向かい、軍隊じみた言葉を発しているのは意外にも、綿の無地白Tにベージュのチノパンを合わせるという、中々の陳腐なコンサバ感を醸し出す少女だ。その傍らには、ショッキングピンクのボーダーTに、サニーオレンジのオーバーオールを重ね着するという、絶望的壊滅感溢れる……おっと失礼、個性溢れる前衛的センスを前面に押し出した少女が控えている。


控えている、と言っても、少女間に主従関係がある訳ではない。2人は、同じ別の何物かに使えているのだから。片膝で自重を支え、しゃがむように折りたたんだ上体と腿の間に片手を巻き込んでいる。


――ごめん、読者。全く伝わってないと思うけど、これはあれだよ、何かSFとかでよく見るあの座り方!ほら、偉い人の前で雑魚キャラがやりがちなあのポーズ!画面には使えるべき誰かが映ってるから、画面に使えるあたおかじゃん(笑)、とか思わないでね?


説明力の無い駄作者を他所に、少女らの報告は続く。


「奴らを別××へ転送致しました」


「計画はうまく運んでいます」


実に平凡な顔立ちの2人はそう言うと、画面に映る何物かを仰ぐ。先程まで反応を示さなかった誰かは、その時になってやっと、気怠げに2人に視線を移す――画面越しに。


「――そうか。ご苦労」


普段はそのように労われることが無いのか、二人は小さく返事をすると、頬を微かに染め俯いた。

第22話：日常の崩壊〜ｓｉｄｅ西園寺〜→←第20話：出会って３秒で乞いに墜ちる（１３）

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