チート夢主大戦争【オリジナル】

第３話：無敵の魔法少女 ページ4

「NUGUHAHHAHAHAHAHHHAAAHIUHUUHAHAHAAHA!!!!!」

変な高笑いをしている男の肌はどす黒い紫だ。黒シルクのマントに覆われている体には、びっしりと体毛が生い茂っている。だが、何よりも彼を異形たらしめているのは、背から生えた天使と悪魔を足して2で割ったような翼である。折り畳んではあるが如何にも窮屈そうであり、少しでも身動ぎしようものなら、マントを突き破ってしまいそうだ。

そう、彼こそがこの世の全ての不幸を生み出し、そこから溢れる悲しみを糧に世界を残酷に支配する者――大魔王である。


そんな世界の敵と対峙しているのは、これまた異形の集団である。民族衣装を身に纏ったエルフ、マッチョな獣人、葉っぱの鎧を着ているのは小人だろうか。彼らの後ろでは、燃え盛る火炎の如き赤竜が魔王を威嚇していた。そう、即ちここは異世界なのである。


この後始まるのは、お互いの正義をかけた聖戦――とどのつまりエゴの衝突である。要するに、殺し合い。

え、やだちょっと待って!?あいつらめっちゃ長い爪とか牙とか生えてんじゃん!絶対腸えぐりとかやっちゃうじゃん!!獣人は斧持ってるし、エルフのあれは鎖鎌!?確実に放送禁止の絵面しか撮れないって!もう書くの止めとこ、誰も読みたくないよこn「よく聞けぇっ、大魔ぉ王っ!!」


良く通る声でメタをぶった切ったのは、中心に仁王立ちする人間の女子中学生である。明るい橙色のお団子に快活な印象を受ける。大きく息を吸い込んだメガホンは、再度大声を響かせた。


「あんたがやってることは、悪いことなのぉっ!!勝手な都合で皆を苦しめないでっ!」

「‰ΞФゝΦ※ωЮЙΘ〒Ъ?」

Go〇gle先生もお手上げだが、彼女には彼の言語が理解できるようだ。

「ってか、自分で生産した絶望を糧に生きてるとか、自給率100%じゃん!地球に優しいね!でも、皆を巻き込むのは許せない!!」

「‰ΞФゝΦ※ωЮЙΘ〒Ъ?」

もう許せない、と彼女は手にした杖を掲げる。そして……

「時間遡行魔法!」

辺りの時空が歪み、世界が輝いた。次の瞬間、大魔王の姿は見えなかった。


「やった!これで一件落着だねっ!!」

いえーい!とハイタッチで喜び合う一行。そう、大魔王は封印された。ものの3秒で。聖戦終了。世界に平和が訪れましたとさ。めでたし×2!




……は!?仲間達何もしてないよ!?てか赤竜は!?まさか出オチ!?そうツッコミたくなるのは分かる。だが、そう言った所で仕方がないのだ。

西園寺萌は、所謂チート魔法少女なのだから……。

第４話：世界を虜にするグレー→←第２話：マフィアの一人娘

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