I can't say goodbye .

手を ページ10

A side



“ 今日の夜空けておいて ”


この言葉が何度も頭の中で流れて

なんで誘われたんだろう っていう疑問と少しの不安



まだ壱馬とわたしは連絡先交換してないため連絡手段はなくて

どうするんだろう？ と思っていたらまさかのえっちゃんから連絡



『夜6時 駅前に来て……か。』



それから準備して１人でそわそわしながら残りの時間暇つぶしして

約束の時間 待ち合わせ場所に来てみたけどまだ壱馬らしき人はいなくて



本当に来るのかな なんて思ったり

よくわからない不安を抱えたまま待っていると



壱馬「Aっ。ごめん、遅れた。」



走ってきてくれたんだろう
息切れがすごくて

わざわざ走ってくる必要ないのになって
だけどやっぱり優しいのはいつになっても変わらないね



『大丈夫だよ。壱馬、大丈夫？』

壱馬「俺は大丈夫。……行こっか。」



そして目的地は言われないまま壱馬についていくことになった

５分くらい歩いて先を見れば人混み


『うわぁ、人多いね。』

壱馬「…でもここしかお店に行く道ない。」



なら仕方ないか… なんて思って頑張って通ってみることにしたけど

人混みに紛れて数秒 予想は当たり
わたしは壱馬と離れてしまった



どうしよう 全然前に進めないし 怖いし




そしたら手を掴まれて

……いや正確に言えば手を繋がれて



壱馬「お前背ちっちぇから、な？」


って余計なことも言いながら壱馬は手を繋いでくれた


『ありがとう。』





すごく思い出す あの頃を

まだ付き合ってた頃だよね
夏祭りに行ったけど人多すぎて壱馬がすぐに

はぐれるから って言って手繋いでくれた





……でも、懐かしいけどわたしはあの頃に戻りたいとは思わない

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