XXXXXXV ページ18
ここはどこだろうか
どこかの港の倉庫に連れて来られた
柱の一つに手錠で繋がれている
ショートパンツから出た足に伝わった
冷たい床がまだ私が生きていることを証明してくれた
「随分と大人しいな」
銀髪の男が先ほどの冷酷な目で見てくる
「本当にこの子FBIじゃないみたいよ…
私がつけてた盗聴器も気づかなかったもの」
プラチナブロンドの女性は
自身の細い指で黒い小さなものをつまんでいた
その時白衣を取った時に彼女が探っていたのは
盗聴器だったのだと気づいた
「まあいい…
FBIだろうが何だろうが…
邪魔者は…消すまで…」
銀髪の男は私に拳銃を向ける
その時
「ッハァ…ベルモット…」
「バーボン…待ってたわ」
汗だくで息を切らして倉庫に入って来た人は
私が愛してやまない人だった
「あなたから聞いたら情報くれるんじゃない?
それと…今回のために近づいたってこと
ちゃんと教えてあげなさいよ…」
彼は下唇を噛んで悔しそうな顔をした
(ダメだよ…そんな顔しちゃ…)
そのまま彼は私の前まで来ると
目の前で腰を下ろした
「Aさん…僕は唯川光を捕獲するため
彼の周りにいた君に近づいただけなんです
君を利用していただけなんです
黙っててすみません」
『…愛してくれてないの?』
「…
ええ…僕たち…
いや
俺たち…終わりにしよう」
彼の表情は私にしか見えなくて
声だけを聞くと低く咎めるような感じだったが
目の前の彼は眉間にしわを寄せて
潤ませた目から零れ落ちるものを必死に堪えていた
彼にこんな顔をさせて悲しくも嬉しかった
それほど私のことを思ってくれているのかと
ここで泣いたら彼も仲間と思われかねないのに
人前で涙を見せない彼がこの状況で涙を浮かべるほど
代わりに私が静かに涙を流した
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作者名:ひよこ | 作成日時:2018年8月27日 11時