検索窓
今日:11 hit、昨日:8 hit、合計:32,929 hit

XXXXXXIII ページ16

『きゃあ!!』


目の前からヒカル君が消える時に思わず手で目を覆った


「チッ…!」


私の後ろにいた彼女はすぐ窓へ走り下を確認した


遠くから車のエンジン音が聞こえた


「ジン…逃げたわ」


安室透のウィッグで隠れていたイヤホンで仲間と連絡を取っていた


ヒカル君の病室は正面玄関の反対側で


彼女の仲間はすぐにそちらを追いかけられないので


ヒカル君追跡はどうやら諦めたようだった


彼女の様子からヒカル君が無事なことがすぐにわかって


私はその場に座り込んでしまった


「どうやら貴方の仲間が逃走したわ


あなた…移動手段ないだろうから送ってあげるわ


もちろん来るわよねぇ?」


顔を上げると先ほどのように拳銃を突きつけていた


その表情は怒りに満ちていた


ヒカル君を捕まえられなかった代わりに


私を人質にするのだろうか


それとも


病院の人に怪しまれないように


ヒカル君が置いていった服に着替えて


私はそのまま正面玄関前に停めてあるポルシェに乗せられた


『あ…』


「お久しぶりですね…先生」


『魚塚さん…』


「入院がてらいろいろ調べさせてもらいやしたよ


先生に恨みはないですが」


「ウォッカ…黙れ」


「すいません…」


「おい…よくも計画を狂わせてくれたな…






地獄の果てに連れてってやるよ…」





今までに見たことのない冷酷な目に


身体の震えが止まらなくなった





私は人質じゃなく殺されるんだ


初めて訪れた死への恐怖に頬を濡らさずにはいられなかった





「ウォッカ早く出して」


隣で拳銃を突きつけている女性は


前の二人と話しながら変装を解いて


美しいプラチナブロンドをなびかせた


(この人がベルモット…)






暗い外を眺めながら


これが最後の景色なのかと考えていると


隣で電話しているベルモットの話など


恐怖で耳に入って来なかった

XXXXXXIV→←XXXXXXII



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (48 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
384人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ひよこ | 作成日時:2018年8月27日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。