XXXXXXII ページ15
「さすがね…FBI
いつから気づいていたの?」
後頭部に硬く冷たい何かを当てた目の前の人は
妖艶な女性の声へと変わった
『彼は二人きりになったら敬語を外すし呼び捨てをするの
抱き締めた時はいつも私の右側に頭を持ってくる
まあ人のクセが気になるから気づいただけなんだけどね』
彼はいつだって人の前では自身のキャラクターを崩すことはしなかった
どんなに辛い時も人前では絶対に弱音を吐かない
だから二人きりの時の彼は私しか知るはずがないのだ
「好きなのねぇ…彼が」
『そうね、愛しているわ』
「彼はどうかしらね」
『一体私に何の用?』
「唯川光をこちらに寄越しなさい」
なんのこと?と惚けると後頭部のものがさらに強く押し付けられた
『何か勘違いしているようだけど私はFBIじゃないわ』
「唯川光を匿った時点であなたは私たちの敵よ
彼のところに案内してくれればもう一度本物の安室透に会わせてあげるわ…
断れば…」
『…』
金属音が部屋に響く
有無を言わさない威圧感を出す彼女は
私から離れ眉間に拳銃を突きつける
断れば私が死ぬ?
それとも…
その続きを考えるのが嫌でここは従うしかないのだと直感した
無言で部屋を出ると拳銃を白い布で隠し
私の背中に突きつけながら付いてくる
病院関係者は安室透の顔に注目して私の緊迫した状態には気がつかない
『…ここよ』
「開けていただけますか?」
きっと彼女は私で拳銃を隠して彼に近づくつもりなのだ
ノックする手が震える
『唯川さん、柴田です。入ってもいいですか?』
お願い…
返事しないで
「はーい」
私の祈りを虚しく彼の声が聞こえた
ドアを開けるとヒカル君は窓際で腰をかけ
全開の窓から外を眺めていた
「安室さん早かったね」
「ヒカル君退院の準備できてるみたいだね
下に僕の車があるから荷物運ぼうか」
そういった安室さんを静かに見つめ緩やかに微笑んだ
「いや…
俺はシボレーに乗るよ」
ニヤッと笑った彼は背中からそのまま
16階の窓から外へ吸い込まれていった
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作者名:ひよこ | 作成日時:2018年8月27日 11時