ありそうでない話｡

〜Story15〜 ページ16

帰る支度をして､下で待ってる柿原さんの車へ向かう｡






ちゃんと笑えるかな｡









昨日､あんな事があったから正直少し会いにくい｡








いつも通りの私でいなきゃ｡









車の助手席のドアを開けて





『柿原さんおはようございます！』






声が裏返った｡








あぁ…ブラック柿原さんに笑われる…







…ってか笑ってもらわないと心が痛い｡






｢うん､おはよう｡｣








ライフセーバーさんのキラキラ笑顔で言われてしまった｡







…距離､置かれた？









やっぱり､好きなことバレちゃったかな｡





昨日言ったことが何か気に触って怒ってるのかな








『…柿原さん､家ついたらお茶していきます？』









｢…や､この後彼女と会う約束してるから｡｣








…そうだった。すごく､忘れそうになるけどこの人には彼女がいるんだった｡







昨日､昔のことを話してくれて､少しは距離が近づいたつもりだったけれど､彼には恋人がいると思うとふりだしに戻る気分。








『あ､そうでしたね｡





彼女さんとゆっくりしてくださいね〜』






語尾に意味深なハートでもつけて言う｡






そうすれば柿原さんも笑ってくれる､ハズ｡








｢…あぁ｡｣









笑ってくれなかった…｡

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