STAY WITH ME 2 (ページ9)

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美しい男ページ9

浮気・・・まぁ、事実としてはそうなんだけど。

ギラギラと冷たく静かに燃えてる彼女の瞳が恐ろしい。

「そのひとを、俺が好きになったんだ。本当に、ごめん」

「誰」

「・・・」

これは・・・正直に言うのが正解なのか？黙っててもいずれバレるか・・・Aは、花火のあとエマから一度も連絡が来ていないと言っていた。それまでは友だち兼ネイルの客だったはずなんだけど。

「言えないの？私の知ってる人？」

ドクリと心臓が嫌な音をたてた。

うわぁ、怖ぇえ〜〜〜！

脇の下、汗でビチョビチョだわ。蛇に睨まれた蛙ってこんな気持ち？

「もしかして・・・」

エマがみなまで言う前に、バッグを引っ掴んで立ち上がった。

「わりぃ！帰る！」

「あっ、ちょっと！」

「ほんとに、俺が悪いから！ごめん！！」

ギリギリ、裾を掴まれる寸前ですり抜け玄関へと走る。靴に足を突っ込んだだけで外へ飛び出し、とりあえず息が切れるまで走った。

駅までノンストップで辿り着く。ちょうど電車が来たのか、ぞろぞろと改札から吐き出されるサラリーマンの波に逆らってホームを走り抜け、閉じ切る直前のドアの隙間に体を滑り込ませた。

『ドアが閉まりかけてのご乗車は危険ですのでおやめください』

俺だ。ごめんなさい。

アナウンスにも周りの視線からも避難を浴びて、いたたまれなくなって真っ暗な外を見やる。

「だっせぇ・・・」

ごめん、か。

ごめんで済んだら警察も弁護士もいらねーよな。

どっと疲れが押し寄せ、冷たいドアに体を預けた。

あー。今すぐ、Aに会いたい。