悪い女 ページ35
大通りでタクシーを呼ぶ、といって２人は並んでいなくなった。
「・・・これで終わった、のか？」
「うん。きっと、終わったね」
大きなため息が２つ。ぴったりと重なった。
「帰ろっか」
「そうしよ」
手を繋いだまま、来た道を引き返す。固く絡んだ指に、雨がぽつりと落ちてきた。
「やべぇ、降ってきた」
「走るよ！」
雨は隆平とエマを濡らさなかっただろうか。
私たちは結局シゲアキの部屋にたどりつく寸前のところでどしゃぶりに襲われて、ずぶ濡れのまま部屋へと飛び込んだ。
ガチャンとドアが閉まる。と同時にシゲアキの手がぐるりと私を囲み、隙間なくぴったりとくっついた。私も、彼の背中へ手を回して、ぐちゃぐちゃに濡れた服ごと彼を抱きしめた。
「A。好きだ」
「やだ。愛してるって言って」
「えー、急にわがまま〜」
「善処するって言ったじゃない。愛してるって言って」
ぎゅうぎゅうと２人でお互いを抱きしめながら、もう２人とも笑いが止まらなくて。
「愛してんよ」
「投げやり」
「うっわ！うっっっわ、めんどくせ！！」
「ちゃんと言うまで離さない」
「ダメじゃん、それじゃ俺一生言えなくなっちゃう」
急に真面目な声で囁くもんだから、ずくりとお腹の奥が震えてしまう。
「大丈夫、言っても離さない」
「どっちにしろのやつね？！やっぱめんどくせーわ！」
あはは！と大好きな声で高笑いするシゲアキ。
「A、愛してるよ。離してくれるまで離さねーから」
そう、約束よ？
だから、ずっと。
「
***
SHIGEAKI Kato
『STAY WITH ME』
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作者名：Niina* | 作成日時：2023年8月2日 20時
