STAY WITH ME 2 (ページ30)

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美しい男ページ30

カランカラン、と音がして、はっと振り返った。

すぐ近くに根元からぽっきりと刃の折れたカッターナイフが転がっている。慌ててそれを拾い上げた。

「エマ」

ガクガクと震えている彼女の顔は幽霊のように真っ白で、バサバサのまつ毛に縁取られた瞳はさまようように揺れている。

「エマ！」

もう一度強く呼ぶと、ゆっくりと視線が現実世界へと戻ってくる。俺の顔を捉えた、と思ったら、その両目からは滝のように涙が流れ出た。

「あ、あ、あた、あた・・・」

「とりあえず、丸山さんを病院に連れて行こう。おまえも一緒に来い」

震え続ける肩に触れたら、びくりと大きく飛び跳ねた。

丸山さんは自力で立ち上がって、Aが渡したハンカチで自ら傷を押さえている。

「すぐそこに形成外科があるから。今の時間ならまだやってるはずだ」

元カレと元カノと今カレと今カノ。ドラクエよろしく４人並んでぞろぞろと病院へ向かう。

中にはじいさんばあさんがほとんどのベンチを占拠していた。４人で視線を交わしたのち、無言のまま丸山さんとAだけが病院内に入ってった。

病院の外、駐車場を仕切る柵にもたれかかって、気づいたら大きく息を吐いていた。

エマは両手を握りしめてまだガタガタと震えている。

「エマ」

ビクッと小さな肩が跳ね上がった。