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悪い女 ページ27
シゲアキの部屋はモノが多い。趣味が多いっていうか・・・カメラ、調理器具、釣り竿、ギター、本、本、本・・・
「大きな本棚を買わなきゃだね」
「あっ、俺あれ買おう。スライドするやつ」
２人でスマホを覗き込んで、家具を調べる。
「大きさとか奥行きとかさ、見てみないとわかんなくない？」
「そーだな。行ってみるか」
電車に乗って二駅くらいのところに大型店舗があるらしい。お昼ご飯ついでに、と片付け途中の家を出た。
なんか雨降りそう。どんよりと重たい雲が、すぐ頭の上まで迫ってくる感じ。
「傘取りに戻ろうか」
そうシゲアキに声をかけて、繋いだ手を引っ張ったときだった。
「やっぱり・・・あんただったの」
一歩、シゲアキが前に出る。私とその子の間を隔てるように。
「エマ」
ぽつりと呟いたのはシゲアキの声。
「また、あんたなのね・・・毎度毎度、何回ひとの男盗んだら気が済むのよ」
キンキンと甲高いはずのエマの声は、地を這うように低く、暗い。シゲアキの背中越しに見える彼女は、花火大会のときよりも痩せた、いや、やつれたみたいだ。
エマのことばに、ピクリとシゲアキの指先が反応した。
それを咎めるように、彼の手をぎゅうっと握りしめる。
「人聞きの悪いこと言わないで」
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作者名：Niina* | 作成日時：2023年8月2日 20時
