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悪い女 ページ20
「社長令息とそのカレシ」にサインのお願いをしたら、お酒とおつまみを手にした２人が家に突撃してきた。
「おまえはさぁ、ほんとにいいわけ？」
まっすーがつやつやのマシュマロみたいなぶ厚い唇を、これ以上ないくらい突き出している。
「なにが？」
「だってさぁ、そいつ、ほんとーに信用できんの？焦りすぎじゃない？・・・って、ちょっと待てよ！手越！」
「え〜、だってこんな機会なかなかないじゃん？オレ書きたーい」
「だから待てって、バカ・・・！」
ペンを握りしめてワクワクしている手越くんから、まっすーが慌てて紙を取り上げた。
「別にさ、おまえが結婚しようとどうしようと勝手だけど、ほら、名前書いておいて、いざ財産目当てに殺されちゃったりとかしたら、すげー夢見悪いじゃん」
「大丈夫だよ、化けて出たりしないって」
「うはははは！ほんとかよ！」
手越くん酔ってるのかしら、テンションが少々お高め。いつも以上にまっすーに邪険にされてもめげない彼が、「そうだ！」と大きな声を出した。
「オレらがテストしてやるよ！そのシゲアキってやつ！ね、そーしよ、まっすー！オレ会ったことねーし」
バシバシと叩かれるのを露骨に嫌がりながら、まっすーも唸りながらうなずく。
「まぁ・・・そうね、一応会ってみて・・・うちのオヤジにも言っといた方がいいと思うし」
そうか、そうだよね。後見としていろいろ面倒見ていただいたんだもの。
「その場でオッケーだったらサインするってことで！じゃあ、Aちゃんの結婚を祝してカンパーイ！」
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作者名：Niina* | 作成日時：2023年8月2日 20時
