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悪い女 ページ2
広いお風呂はひとりだってゆったり入れるんだけど、２人でもまだ余裕。
ぽちゃん、と情緒のある音が反響する。
奄美どうだったーとか、シゲアキの指って丸いねとか、どうでもいいことをだらだら話しながら、膝を抱えてシゲアキと向かい合って湯舟につかる。
「あのさ」
手をひっくり返したり撫でさすられたり、されるがままになっていたシゲアキが、真面目な顔をして神妙な声を発した。
濡れ髪をオールバックにして。ねえ、私、それめちゃめちゃツボなんですけど。
「聞いてもいい？その、ご両親のこと」
「今？」
「あー、いや、あとでもいいんだけど・・・なんか今、聞いておきたいかなと思って。ほら、風呂って腹割って話せるって言うか」
「ん・・・うちの両親ね、私が高校１年の時に死んじゃった」
きゅ、と彼の親指と小指を両手で握りしめた。
「事故だったの。２人で仕事で出かけてたときに。それで、うちすっごいお金持ちだったのね？私は全然どんな仕事してるとか詳しくは知らなかったんだけど、お父さんは社長で、宝石やブランド品の輸入販売をしてたみたい。お母さんはデザイナーだった」
うん、と低い声で呟く。
「２人とも、ちゃんとしてくれてたんだよね。親戚がだーれもいないんだけど、私が一生食べていくには困らないように、弁護士とか資産管理とか、ちゃんと遺しておいてくれた。このマンションもそう。
だから住むところと収入は保証されてるの。あまちゃんだよね、ネイルサロンもそのおかげでやれてる」
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作者名：Niina* | 作成日時：2023年8月2日 20時
