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悪い女 ページ7
「何してんの」
上がってくるの、ずいぶん早くない？
ソファの肘掛にお尻を引っ掛けるように座った彼を見上げる。
目が合うと胸の奥がざわざわとして、視線を落として彼に寄りかかった。
温かくて気持ちいい。冷房で冷えてきた体が、彼の熱を吸収していく。
「あのー、さ。名前・・・」
「うん」
「改めましてなんですけど。加藤成亮です」
ゆっくりと頭を上げて彼を覗き込むと、眉を下げて、どこか少し戸惑っているような顔をしてる。
「しげあきって、どういう字書くの？」
「あー、えーと、平成の成に、加瀬亮の亮」
「かせりょう？」
「知らない？俳優の」
ふるふると頭を振れば、眉根を寄せて「んー」と唸る。
「なべぶたに、口に、カタカナのワに、カタカナのハっていうか」
「わかった。ロンブーの淳じゃない方？」
「そうだけど！いや、めんどくさいな、それ！」
シゲアキが顔をくしゃくしゃにして笑う。
昨日から切羽詰まったような表情しか見てなかったから、なんだか嬉しいような、泣きたいような気持ちになる。
「どうした？」
笑いをおさめたシゲアキが片手で髪を掻き上げて、賢しい額が露わになった。ひどく男前なその仕草に、ドキドキと鼓動が高まる。
「あのね」
「うん？」
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作者名：Niina* | 作成日時：2023年7月22日 17時
