STAY WITH ME (ページ45)

今日:35 hit、昨日:17 hit、合計:7,072 hit

美しい男ページ45

俺ってこんな腑抜けだったっけかな・・・

まさかこんなに早く『結婚』の２文字に出くわすとは思わなかった。

しかも俺自身がそれをすんなり受け入れるとは。

自分が一番びっくりよ。

だけどな～今の今まで『エマと結婚したい』と思ったことはなかったしな。

いや、エマだけじゃない。っつーか、誰かと結婚したいとか、考えたこともなかったな。

えーーーー

俺なんであんなすんなりオッケーしたんだろ？

全然迷わなかった。迷う必要がなかった。

Aと一緒にいる。それが一番しっくりくるんだ。俺が。あいつの隣が俺の居場所だって、細胞が知ってるっていうか。

「はー。何考えてんだ、俺・・・」

エレベーターに乗り込むと、人が駆け込んできた。

『開く』のボタンを押す間もなく、ドンッと衝撃が走る。

「・・・エマ・・・？」

しがみついてくる小さいフォルム。嗅ぎ慣れた、甘ったるい香水。

脊髄がヤバイと警鐘を鳴らしている。

けど、どうしようもできなかった。

壁に縫い付けられて動けないうちに、無情にもエレベーターの扉は、閉まった。

「来ちゃった」

顔を上げたエマの大きな目。無邪気にきゅるんと光るそれに、後ろめたさが突き刺さった。

「もぉぉお、シゲくん全然連絡くれないんだもん。忙しくたって返事くらいしてよー」

引き剥がす前に自ら解いて、そのかわり俺の右腕に巻きついてくる。