STAY WITH ME (ページ39)

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美しい男ページ39

終わりの時間は予定よりも多めに設定してあると言っていたから、１１時４５分頃を目指して昼メシ作るか。食材使っていいって言ってたし。

昨日から読みかけの文庫本を取り出した。

そうだ。土産。

ついでにデイパックから出しておく。そういえば、偶然にも蛙色だ。気に入ってくれるといいが。

スマホでタイマーをかけて本の世界へ没入していく。

現実に引き戻されたら、ツナやらトマトやら大葉やらを刻んで、そうめんを茹でる準備をしているところでガチャリと玄関が開く音がした。

「ただいまー」

「おかえり。そうめん茹でたらすぐ食べられるよ。手ェ洗ってきな」

「やった！ありがとう」

ちょこんと満面の笑みを覗かせて、Aが洗面所に消える。

「なにー？すごい嬉しそう」

戻ってきたAが手元を覗き込む。そういう彼女の顔も、あからさまに緩んでいる。

「いや？・・・なんか、いいなーと思って」

「うん」

水でもみ洗いしたそうめんをよそって、ダイニングへと持っていく。箸やお茶を並べてくれていたから、向かい合って手を合わせた。

「いただきます」

「どーぞ。召し上がれ」

美味しい美味しいとニコニコしながら食べてくれるから、なんかもうそれ見てるだけで満足するよね。

「シゲアキは食べないの？」

じっと見てるのに気づいたんだろう、Aが不思議そうに視線を寄越す。