STAY WITH ME (ページ38)

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美しい男ページ38

午前中の予約は１人だけだと言っていた。

「ひとりでやってるからお待たせするわけにいかなくて。絶対に時間がかぶらないように、余裕を持って予約を取ってるの」

お昼は・・・１２時終わり予定。１３時には次の客が入ってる。今日４件と言っていたか。

改めて、ぐるりと部屋の中を見回してみる。独りで住むには広すぎるだろ。

小部屋は物置になってるらしく、ダイニングテーブルもベッドも仕事机も、全てがワンルームにぶち抜いたこの部屋にある。

しかも、普通の部屋の２部屋分だ。ここから上の階は１フロア４戸入っているが、このフロアにはこの部屋ともう１部屋のみ。下のフロアはAのネイルサロンと管理事務所、それから来客用のウェイティングルームになっている。１階は屋根付きの車寄せとコンシェルジュデスク。

「何者なんだろ・・・」

改めて、俺はAのことを何も知らないということを痛感する。

今日は雰囲気に流される前に、少し話をした方がいいかもしれない。あまり自信はないけど。

ＡＶ機器はなかなか値の張るものを置いているのに、冷蔵庫なんかは割と古い型のものを丁寧に使ってる。

高い天井までびっちりの書棚。本だけじゃなくて、小物も飾ってある、んだけど・・・

「蛙？」

さまざまなデザインの蛙の置物が、物語を表すかのように置かれている。なんだよ、蛙とか好きなの？変なやつだな。

口元が緩んでる。自覚アリ。俺、今誰かに見られたら、すげーやばい顔してるわ。