STAY WITH ME (ページ32)

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悪い女ページ32

「あ、できる子だ」

「バカにしてるだろ」

「うふふ、バレた？・・・ありがと」

大きな手がくしゃりと頭を撫でる。やだもう、その手にしがみつきたい。

「ビール飲もう。私、奢るよ」

「やったね」

大きな紙カップとポップコーンを抱えて劇場に入ると、案の定ガラガラだった。

「カップルシート？」

「いや・・・そんなのあんの？」

「さあ、どうだろ」

「知らんのかい！」

夜中のテンションでゲラゲラ笑いながらど真ん中の席に座る。両側は、壁際まで誰もいない。

シゲアキが私の左側。

「そうか。便利ね？」

「は？・・・あー、左利き？いや、そうでもないよ。こういうとこだと大体みんな右に自分のドリンクとか置くじゃん？だから、うっかり利き手の方に置くと、たまにヤな顔される。あ、スイマセン、っつって」

首をすくめて見せる彼の仕草にクスクス笑っちゃったら、「笑いごとじゃないんだって」って、おでこを突かれた。

超有名アニメーションを実写化したそれは、夢と魔法がたっぷり詰め込まれたどっぷりの恋愛映画で。

中盤くらいまでは映画を観ていたけど、真ん中に置いたポップコーンに伸ばした指先が触れた途端に、もうダメだった。

左手は握りこまれ、視線が交わった瞬間にはキスをしていた。