STAY WITH ME (ページ31)

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悪い女ページ31

土曜日はいつでも朝から晩までびっちり予約が埋まる。

・・・のに、今日は最後のお客様が急に日程変更になってぽかりと空いてしまった。

何となく最新映画を検索してたら、レイトショーをやってる劇場がすぐ近くにあるみたいだ。

「ふーん・・・」

画面のスクリーンショットを撮ってみる。

メッセージ画面を開いた。

『俺も』

の下に写真を貼り付けて、紙飛行機を飛ばす。

あっ、既読になった。

でも返信は来ない。

まあいいや。ちょっと外で飲みついでに何か食べよう。

ラフな服装に着替えて化粧を直し、テーブルに置きっぱなしだったスマホを拾い上げたら、吹き出しが増えていた。

『２２：３０』

リップを塗ったばかりの唇が半月を描く。

既読だけつけて、夜の街へと繰り出した。

文庫本に頭を埋めるように集中している、黒髪のそこのひと。ロビーの片隅でこんな時間に、絶対アヤシイひとだと思われてるよ？

すとんと隣に腰掛けると、大きな目をことさら見開いたシゲアキが、勢いよく顔を上げた。

「びっ・・・くりした～。来たなら声かけろよ」

「うふふ。こんばんは」

「あー、こんばんは。え、何これ？」

わざとらしいやり取りに、シゲアキが顔をほころばせる。

「私、チケット買ってくる」

「あるよ・・・ほら」

シゲアキがポケットから小さな四角い紙を２枚つまみ出した。