STAY WITH ME (ページ29)

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悪い女ページ29

ぴちゃ、と際どい音がして。

手越くんの顔が、ぴたりとまっすーに被さっている。

「タカがいるのに浮気なんてするわけないじゃん。オレ、あんたが死んだって他の男になびかねー自信あるよ」

「勝手に殺すなよ・・・」

「万が一の話でしょーが。オレが、そんだけタカに愛されてるってハナシ！」

「ん？そこは手越くんがまっすーを愛してるってハナシじゃないの？」

私の問いかけにくるりと振り返った彼の唇は、グロスを塗ったかのようにテカっている。

「ちがうよ！オレは、生きてても死んでても、未来永劫、増田貴久のモノ、ってこと！」

にっこりと天使のような微笑みを浮かべる手越くんに、一瞬見惚れてしまう。なんなの、この人間離れした美しい男は。美しすぎて近寄りがたいくらいだけど。

「ほんとバカだな、おまえって・・・」

まっすーの声がゆるゆると甘くなっている。

ヤバイヤバイ。ピンク色に染まっていく空気。このふたり、私のこと忘れておっぱじめそうだから嫌なのよ！

だけど、雰囲気をぶち壊すとまっすーが死ぬほど怖いから、最後はささっと仕上げて彼の手を離した。

「おわり！あとは帰ってからやって！」

「ありがと、Aちゃん」

手越くんのウィンクは、本当に心臓に悪い。