STAY WITH ME (ページ23)

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美しい男ページ23

こんなにメッセージを送るのに慎重になったことはない。

空港へと向かうタクシーの中で、手の中の小さな端末をついつい睨む。

最近は、職場で個人情報の漏洩防止とかで、データの送り間違いをしないようにと耳タコで言われてるけど、アレほんと大事だわ。

１個の送信ミスが大事故になりかねない。

まあ、Aは笑い飛ばしてくれるんじゃないかって気がするけど。

問題は。

小さい丸の中に写るラテアートのアイコンはエマのものだ。向こうからのメッセージは既読にしてしまっている。

『いつ会えるの？』

そんな簡単な問いに、俺は答えられないでいる。

「はーーー」

「どうしたの加藤くん。彼女が恋しくなっちゃった？」

「いや、そんなんじゃないっすよ」

後部座席の先輩たちから野次られ、隣でハンドル握ってる現地のドライバーまでニヤニヤしてやがる。

「お土産のひとつも買ってってやんなよ。彼女のご機嫌とりにはやっぱプレゼントだろ。

『仕事中もオマエのこと忘れてないよ』っちゅーアピールが重要なんだよ！」

ヒゲだらけの熊みたいな、一見ジャングルにでも住んでいるような風貌の音声さんは、こう見えて先月入籍したばかりの新婚さんだ。

「オレも土産見てこよ。３０分後に検査場集合な」

と空港でひとり、放り出されてしまった。

土産、ね・・・

顔が浮かぶのは、どうしたってAだ。

あのベース野郎は帰ってきたんだろうか。

木曜っつってたか。今日じゃん。なんだよ。