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美しい男 ページ18
「・・・なんか困ったことがあったら言ってよ？オレができることならなんでもするから」
「うん」
言ってやりたいことなんて山ほどあるだろうに、小山が無理やり笑顔を作る。俺はうなずくしかなかった。
会社に戻ると、ちょうどエレベーターからエマが降りてきた。コーヒーでも買いに行くのか、財布だけを手にしている。
「あ、シゲくん！」
後ろから降りてくる人たちを避けるために、エレベーターホールの端へと彼女の手を引いた。
手の中の違和感。おかしい。こっちの方が馴染んでいるはずなのに。
だって、Aの手はもっとこう、しっかりとしていて、それでいて滑らかで・・・
「シゲくん！ねえ、お仕事、まだ忙しいの？」
「え？あ、ああ、うん、そうね。まだちょっと立て込んでるかな」
隠しきれないため息をついて、エマの眉がきゅっとすぼまる。
「そう・・・せっかくの花火大会も途中で帰っちゃうし。穴埋めしてくれるんでしょ？待ってるからね」
むくれてみせたエマが、コロッと笑顔に変わる。
「じゃあ、お仕事頑張って！夜メールするね」
「ああ」
笑顔を貼り付けたまま手を振るエマに向かって、重たい左手を上げた。
「シゲ〜」
柱の陰からにゅうっと小山が姿を見せた。
「うわっ！なんだよ、いたのかよ！びっくりするわ、もお！」
「んも〜あんなカワイイ子がいるのにッ・・・むがっ」
「バカッ！声がでかいんだよ！」
慌てて小山の口をふさぐ。まったく、粗忽なんだよ、こいつは！
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作者名：Niina* | 作成日時：2023年7月22日 17時
