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悪い女 ページ15
「ひとりでやってんの？」
椅子と作業テーブルは一対だけだ。
「そう。今度爪ピカピカにしてあげる。
・・・って、やば、もう９時半になるじゃない！」
「えっ」
「１０時に予約入ってるの！ごめん、早く着替えて！」
「お、おお」
シゲアキの後ろに回って、さっき締めたばかりの貝の口を解く。
「浴衣、預かるよ。一緒にクリーニングしておくから」
半裸のまま振り返るイイ男。
「取りに来いって？」
「会いにくる口実ができたでしょ」
ふっと口角を上げたりするから、キスするしかないじゃない。
「んんんー、早く着替えて帰ってほしい！だけどキスしてたい！！」
「ぶはっ！正直か！」
ささっとまっすーの服を着たシゲアキ。
「時間空いたら連絡する」
「私も」
「うん。じゃあ」
ううう、やだ、帰ってほしくない・・・
「俺もだよ」
「あれ？声に出てた？」
シゲアキの綺麗な顔がくしゃくしゃになった。あー可愛い！
「俺も仕事行くわ。じゃ、頑張って」
もう一回だけ軽いキス(じゃないとまた止まらなくなるから)をして、ドアの向こうにフワフワの黒髪が消えた。
ぽつんと、急に室内が寒々しく感じる。
床に落としたままの浴衣を手に取る。
顔を埋めて思い切り吸い込んだら・・・まあ、汗の匂いですよね。
シゲアキの男くさいシルエットが脳髄に浮かび、下半身がどうしようもなく痺れてしまう。
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作者名：Niina* | 作成日時：2023年7月22日 17時
