純情直球勝負 《 Hidaka.U 》

Nineth Attack ページ10

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Side of You





浮所くんの試合がもうすぐ始まる。


近くの席からは


" うわ、強豪校。これはキツイかもな "


なんていう声が聞こえてきて


私まで緊張。




「っ…」




こんな時にって思うのに


テニスをしてる浮所くんを見るのは初めてで


そのいつにない真剣な眼差しに


キリッとした表情に


胸の奥がきゅっとなる。




" 粘るな〜、あの子…でも体力大丈夫か？ "




試合も山場。


圧倒的に最初こそ不利だったのに


点差が出来ては奪い返して。


でも、もう6ゲーム取られてて


いくら5ゲーム取ってる浮所くんでも


このゲームを取られたら………。


苦しそうな表情。


息も切れてるし、キツそうで。




" サーブ権が相手側か…これは厳しいぞ "




嫌なくらいに届く近くの席からの声。


これを取られたら2ポイント差


浮所くん……負けちゃうよ。


ぐっと握る拳。


立ち上がって、大きく息を吸った。




「っ…浮所くん、頑張って！！！」


『っ…』




相手がサーブを打つと同時に


私は声を出した。




＿＿ …




試合の全部が終わって


他の人たちもゾロゾロと帰っていく。




龍『あ、…いた！！』


「へ、…」


龍『浮所、………あの建物の裏にいるから


行ってきてあげてくれないかな？？』


「で、でも…」


龍『行ってあげるだけで、…いいから』


「っ………わかっ、た」




さっき浮所くんといた人に言われて


恐る恐る近づく建物の裏。


ちらっと伺えば浮所くんが


座り込んで俯いていて


胸がズキン、と痛んだ。





「…………浮所、くん？」


『………………Aちゃん』




負けちゃった、


そう呟いて無理やり笑顔を作る彼に


私は何が出来るだろう。






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