純情直球勝負 《 Hidaka.U 》

Fourteenth Attack ページ15

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Side of You





「…………あの、雄登」


那『ん？』


「手………」


那『あ、ごめん…』




しばらく手を引かれて


着いた下駄箱。


なのに雄登は手を離してくれなくて


ちらっとその顔を見たら


怒ってるけどどこか悲しそうな


そんな表情、してるから。




那『アイス、食べに行こっか』


「え、…？」


那『Aのいつもの元気の素のお店、行こうよ』


「っ…」





こくん、とただ小さく頷くと


優しく微笑んでくれる雄登。


今日はそれに甘えきってしまう。


少し歩いて2人でアイスを買って。


注文する時に、Aは昔からこれだよね、なんて


当たり前みたいに言う雄登に


安心感を覚えた。




那『はい、Aの分ね』


「うん、ありがとう」


那『いい加減好み変えたら良いのに(笑)』


「んー、だってこれが1番美味しいもん(笑)」




昔、雄登とよく遊んだ公園に着いて


ベンチに座ると


ちょうどちっちゃい子達が遊んでた。




「可愛いね〜」


那『俺らもさ、よくああやって一緒に遊んだよな』


「うん、(笑)


覚えてる？雄登が作ってた途中のお城壊して


私がびっくりして泣いた時…」


那『覚えてるよ(笑)


あんな泣かれたの最初で最後だし(笑)


俺焦ってめっちゃ頑張って違うの作ったよな(笑)』


「そうそう(笑)


いつも泣いてるとね、


雄登がなんかして励ましてくれたよね」


那『感謝しろよな〜』


「うるさいです〜(笑)」




楽しいことを思い出して笑顔になれるはずなのに


雄登が励ましてくれたのと


今日の浮所くんが重なって。




那『A…？』


「へ、………」


那『…………泣いてん、の？』


「ち、が…っ違う、よ」




気づいたら止まらなかった涙を


見つけた彼はそれをそっと親指で拭う。


そんなことされたら安心しきって


また、止まらなくなるよ。




那『強がんなくていいから』


「っ…」


那『辛いなら………いいじゃん』




一瞬にして、暗くなる視界。


そして彼の香りにふわっと包まれて


抱きしめられたんだと、気づいた。




「…………ゆう、と？」


那『俺が、Aの傍に、いるよ』




ぎゅうっと、強められた力に


ドキッと胸が鳴る。


突然の出来事にいっぱいいっぱいな私は


気づかなかったんだ。




＿＿ …





『え、…』





まさか、浮所くんが見てるだなんて。






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