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「良い?心っていうものはね、生き物に宿るものなの。でもお前は生き物じゃないから、心なんてものはない」

 世斃悪(ぜべいあ)様は言葉を紡ぐ。

「心が欲しかったら、生き物になれば良い。簡単でしょう?」

「……生き物って」

 私は問いかける。恐怖に震える声で。

世斃悪(ぜべいあ)様の言う生き物って、何なんですか。私はどうして、生き物と呼ばれないんですか」

「あら、なんだ。そんな事。じゃあ教えてあげる」

 世斃悪(ぜべいあ)様は、そこでようやく私をおろした。そして手を差し伸べて見せる。困惑して手を取るべきか悩んでいると、次の瞬間世斃悪(ぜべいあ)様は自分の手の甲を爪でほんの僅かにだけ引き裂いた。

 すると、そこから何か溢れてきた。世斃悪(ぜべいあ)様の中身かと思ったが、様子がおかしい。ずっと昔、海を見た時を思い出す。それは、海だった。小さな赤い海が、つぅっと流れる。

「これはね、血っていうの。生き物には皆、血が流れているのよ」

 私は流れる小さな赤い海……血を見つめる。

 これが私に流れれば、私は生き物と呼ばれるようになるのだろうか。心があるという事を証明できるのだろうか。

「これこそ、尊くなると言えるんじゃないかしら。ただのお菓子でなく、れっきとした生き物になる事が……ねぇ、どう思う?」

 世斃悪(ぜべいあ)様は嫌な笑みを浮かべてこちらを覗き込む。私の答えを待っているようだった。

「……なさい」

「ん?」

「ごめんなさい。少しだけ考えさせてください」

 返事を待たずに、私は逃げた。これ以上、世斃悪(ぜべいあ)様を見たくなかった。

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ミクミキ(プロフ) - ぱるむのお部屋さん» ありがとうございます!励みになります (6月30日 21時) (レス) id: bce403cc8a (このIDを非表示/違反報告)
ぱるむのお部屋(プロフ) - たまうさかわいい〜イラストもとてもかわいくて素敵ですね!これからも頑張ってください! (6月30日 20時) (レス) id: 0955046302 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ミクミキ | 作者ホームページ:http  
作成日時:2022年6月27日 21時

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