【npl】鉢合わせ【8】 (ページ42)

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仕事の処理がし切れず、三日連続の残業三昧。

メールでのやり取りでしか彼と会話出来ず、私は心底寂しい気持ちで埋もれていた。

挙句昨晩、彼から来たメールには仕事の都合で水族館行けなくなった。ごめんね。の文。

仕方ない、仕方ない、と言い聞かせるも、今まで彼との距離が近すぎた故、複雑な感情を抱いてしまう。

そうして今日もまた、仕事の話と言われ、彼は私じゃない女性たちと昼食を共にしている。

四谷「ねえ、田部井さん。上の空で飯食べてて楽しい？」

私「だ、だって … 」

四谷「 … はあ、田部井さん優先にしない八野の気が知れない。」

珍しく同感である。一言ぐらい声掛けてもいいのでは？なんて嫉妬すら生まれる。… 面倒臭い女になってしまった。

四谷「気分晴らしにどこか行かない？」

私「え？」

四谷「例えば──水族館とかさ」

彼は財布にしまってあった2枚のクーポン券を取り出し、一枚を私に差し出す。これを受け取れば彼と行くことに同意する、ということだろう。

四谷「単刀直入に言うと俺は田部井さんとお出掛けがしたい。八野から奪ってやりたいし、ね。
んで田部井さんは寂しさを取っ払いたい。──お互い都合がいいでしょ？」

私「浮気に入りません？」

四谷「え？… ふははは、入らないよ。… まあ、それを気にするなら、アイツ辞めて俺と付き合えばいいでしょ。」

威圧的な視線を私に向け、思わず顔を強ばらせると、また吹き出すように笑った。

四谷「 … じゃ、明日行こうか」

この人自身は悪い人ではないし、はっちだって似たようなことを私にしている。… 何も浮気とは疑ってないけど。

最低なことをしているとわかった上で、彼から券を受け取り、その場で解散した。