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1台の長テーブルを挟んで彼の向かい側に座る。
痛い沈黙、彼の視線、いくらそういう関係でも気まずいものは仕方ない。
彼は口を誤魔化すようにミンティアを食べていたが、1粒ずつではなく3つ4つを一気に口内に放り込んではガリガリ音を立てていた。
態度でわかる、めっちゃ不機嫌じゃん──
八野「 なんで向かい側なの。隣来てよ。」
彼は自身の横の椅子を引き、隈のある目で私を見詰める。早く来いよと言うように。
カラオケボックスの内部のように、窓がなければドアからも見えずらい、所謂密室のこの部屋は緊張を煽る。
彼の横に座り、ミンティアを無心で食べる彼を見ていられなくなり、あの提案を取り消そうと決心した。
私「 あの、変な事言ってすみません。無理して禁煙しなくていいよ … ?」
八野「 … それを言いに来たの? 」
キョトンと首を傾げる彼にこくこくと頷く。
八野「 え?なんで。禁煙しないと寝れないじゃない。それに … … あ゙〜、その … 、先のこと考えたら、煙草って害でしょ。今頑張れば得しかないし。」
私「 無、無理はダメだからね … 」
八野「 んははは、ゴメンね。まあ制限するってやっぱりイライラはするけど、そんな顔されたらなあ、可愛いな本当。 」
私「 そんなに変な顔してた? 」
八野「 飼い主に叱られた子犬みたいな顔かな。」
上機嫌に笑う彼にホッとする。
私「 でもミンティアばっかって飽きそうですね。オススメのお菓子とか教えましょうか? 」
八野「 … んー、ミンティアで大丈夫 … じゃない?多分 … 」
私「 ええ?私のおすすめのお菓子気にならないの?もうちょっと頼ってもいいんですよ? 」
ぽんぽんと彼の頭を撫でる。何となくだけど、人を撫でる行為は好きかもしれない。
しかし、彼はまた不機嫌そうな顔に戻ってしまった。
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ぺんぎん - 終わり方めちゃ好き…すごく面白かったです! (2021年3月8日 14時) (レス) id: 223a7324a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:皇 | 作成日時:2019年2月2日 2時