【npl】鉢合わせ【8】 (ページ23)

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田部井さん──Aの体温は風呂に入るよりも、布団に入って夜を過ごすよりも、断然に心地好く眠気を増していく。

貴方「寂しいけどもう帰らないと。」

俺の背中に回している手でトントンと優しく叩く。

お互いの腹部に拳２個分が入るぐらいの距離まで離れると、途轍もないほどの心細さと孤独感を感じる。

八野「泊まればいいのに … 」

貴方「エッ、あ、いや … それはまだ、心の準備っていうのが … 」

分かりやすく動揺しながら視線を逸らす。

八野「仕事のない日の前日は泊まって欲しい … ああﾞ、離したくねえ～！」

酒を飲んでるからか、言わなくてもいい本音が口からこぼれていく。こんな事言って困らせるなんて分かりきっているのに。

貴方「 … あ～、なら … 」

チラッと机上にある灰皿を見て何かを考え始める。ストレスを感じた時につい吸ってしまうのだが … どこか依存性が付いている。

… 一寸嫌な予感がする。

貴方「煙草吸わなくなったら泊まりに来ますね」

八野「 … … マジで？ま、じか … 精進します … 」

満足気に笑うと俺の腕から離れ、簡単に机の物を片すと帰宅の準備を始める。

冷えた風を受けながら彼女の玄関まで送るも、猛烈な虚無感に襲われる。

貴方「 … もう、そんな静かにならないでくださいよ。また仕事で会いましょう。ね？」

八野「あ、そっか、職場同じか … 少し元気出たな … 御休み。」

貴方「はい、御休みなさい。」