【npl】鉢合わせ【8】 (ページ16)

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今の俺はめちゃくちゃテンションが高い。だってそうでしょ、好きな子が俺に惚れていた事実を知れば誰だって浮かれる。

そんな彼女は全然此方を見ようとしてくれない。何なら俺と真逆の方向ばかりに視線を動かす。

八野「コッチ見てくれないと寂しいよ」

田部井「そ、そんな事言われても」

色々俺の方に気を向かせる方法を考えていると、(すぎるのような)日本の真裏まで届きそうな程とんでもなく大きな男の子の泣き声が聞こえた。

ふと公園の滑り台を見てみると、滑りに失敗したのか、その着地点で顔面から転げ落ち泣いていた。

田部井「 …え！大変！」

田部井さんも思わずギョッとした表情をしていたが、すぐ様鞄を手に男の子の元へ走り寄る。

わぁわぁ泣いている男の子の目線に合わせてしゃがみ、田部井さんは怪我は？と訊ねる。

生憎周りに保護者らしい人はいなく、時間の割に子供もかなり少ない。

男の子はグズグズしながらも膝と腕を見せ怪我の場所を教えてくれた。

彼女は慣れた手つきで消毒液とガーゼ、そして絆創膏を取り出しては手当に移る。

情けないことに何も出来ない俺は泣いている男の子の背中をさすることしか出来なかったが、久々に見た田部井さんの怪我の手当は高校時代と同じように優しく的確だった。

田部井「はい！終わり！どう？大丈夫そう？」

八野「お母さんとかお友達は？いないのか？」

男の子は横に首を振り一人で遊んでたと答える。

田部井「そうなんだ。まあ気を付けてね！ …あ、でも一人で怪我した時大変だから … ちょっと可愛いらしいけどこの絆創膏あげる。」

取り出したのはペンギンのイラストが描かれた絆創膏 … ペンギン？

男の子は太陽のように明るく笑った後にありがとう！と健気に喜ぶ。待って、俺が欲しい。

怪我のこともあり、その子はすぐに帰宅した。

田部井「 …ずっとペンギン見てましたけど欲しかったんですか？」

八野「ペンギン … う、うん、ペンギン好きだから」

この回答、非常に恥ずかしい。

しかしそれをからかう訳でもなく、

田部井「あ、じゃあ怪我した時私がペンギン描きますよ！」

なんて言われる。… 早く俺怪我しないかな。