【npl】鉢合わせ【8】 (ページ11)

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彼女と連絡先を交換すれば、夕飯食べるので、と帰ってしまった。

しかし、俺は一つの目標を達成。田部井さんと連絡先を交換！

アドレスに彼女の名前があるだけで、気持ち悪いと自覚しながらもニヤニヤと口角が上がってしまう。

これも男の性だ、なんて言い聞かせながら硬く冷え切った床に座布団も引かずに胡座をかく。

なんて打とうか、そもそも初めはなんて言えば好印象なのか？

取り敢えず慣れもしないスマホでポチポチと文字を打ってみる。

「こんばんは。さっきはありがとう。俺は土日なら空いているので、暇な日時があれば教えてください。」

八野「 …まぁ、シンプルイズベストだろ。」

送信の文字を見れば大きな溜息と共に横たわる。

カッコ良くなりましたね！なんて言われたら期待してしまう。

ま、今更俺みたいな陰キャ極めた情緒不安定のオジサンなんか好きになんねぇか。

八野「 ……涙出てくるわオイ」

涙腺が緩みながらも頬を叩き、ゆっくりと重たい体を起こす。

すると手元のスマホが着信音と共に震える。

反射的に画面をつけると、『すぎる初見プレイ』の文字が見えた。…動画サイトの通知か。

八野「クソォ～、もう、情けねぇ… 」

弱り切った精神に鼻で笑いながら涙を拭って酒を取りに冷蔵庫へ。

今度は椅子に座りパソコンの画面と向き合う。

…どうせ辛いだけだし、すぎるさんの動画でも見てよ。

ボリューム調節をしていると、再度スマホの着信音が鳴る。

八野「 …あっ」

『今週の土曜日どうですか！』

即返したらキモイだろうと変な所に気を遣い、数分後に『じゃあその日に迎えに行くね』なんてカッコつけて。