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結局俺はネギがどっぷり乗っかった大根おろしうどんを買った。蒸し暑い日にサッパリしたものは、より美味しく感じられるだろうと信じて疑わなかったからだ。
先にオムライスを購入していた香山さんは冷水を飲んで待ってくれていた。向かいに座り、お絞りで手を拭う。香山さんは手を合わせ、
「いただきます。」
「…いただきます。」
無言で卵を割ってライスと共に掬い口に入れる。幸せそうに頬張っている姿を見て心に温かみを感じた。まあ猫じゃらしで戯れてる子猫を見て癒されるあの感覚と同じだ。
「先輩は中学生の頃は部活何されてたんですか？」
「俺の所は兼部が大丈夫だったから陸上とバスケ…と文芸部。」
「…頑張ってましたね。だいぶ。」
俺は苦笑いで返す。そんなに頑張ったつもりじゃない。他の部員の方が汗水流して走って、ボールを取って…文芸は読書してただけだが。まあ俺より努力してる人の方が多かったはずだ。落ちこぼれの貧弱なヒジキみたいな俺よりは生き生きしていたし。
「そういう香山さんは？」
社交辞令。別に、全く興味はない。
「水泳でした。」
「…へえ、意外。球技かと思った。」
「幼い頃から習ってたので。」
特技があるのは心底羨ましい。妬ましい。俺も地頭がよくて、タレントの持ち主で、恵まれた人間であれば、もっとこうマシな人生を送ってこれたかもしれないと言うのに。
勝手に奈落に沈み、その後の会話は覚えてない。この時間で余計見窄らしく、見苦しい男に成り果ててしまった。いずれ香山さんも俺を見下し、遠く薄暗い霧の向こうで隠れてクスクス笑っていることだろう。
勤務室に戻って改めてモニター越しで俺の顔を見る。目の下にクマ。光のない目。幸薄そうな顔。
──香山さんは俺をどう思っているんだろう。
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椿 - 初めて作品を拝見致しました。ちょっとヤンデレっぽい？ところとかすぐ卑屈になっちゃう感じが最高で悶えっぱなしでした。プライベートもお忙しいと思いますので、御無理はなさらないよう、でも続きを楽しみに待ってます！ (2019年9月8日 13時) (
レス) id: d85e9649a8 (このIDを非表示/違反報告)
マリー(プロフ) - とても面白いです！8さんの執着心とか依存している所が好きです！頑張ってください！ (2019年8月12日 15時) (レス) id: c101e6241c (このIDを非表示/違反報告)
かに - このお話大好きです。応援しています。 (2019年8月6日 0時) (レス) id: 00ba5f5b34 (このIDを非表示/違反報告)
皇(プロフ) - かにかえるさん» 御褒めの言葉ありがとうございます！非常に嬉しいです！そのようなメッセージが小説を書く励みになるので、つい口元が綻んでしまいます( 笑 ) 拙い小説で改善点も多いですが宜しくお願いします！^^* (2019年7月16日 16時) (レス) id: bb4a402862 (このIDを非表示/違反報告)
かにかえる - この作品本当大好きです！とても口調や表現の仕方がhacchiさんに似ていて、いつも感心します。これからも頑張ってください。応援します。 (2019年7月15日 21時) (レス) id: 30f48a139b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：皇 | 作成日時：2019年6月23日 10時
