貴方の側に居れるなら、私は家畜でもかまわない… (ページ4)

今日:13 hit、昨日:4 hit、合計:70,090 hit

家畜日記２ページ4

ーー現在

『フンッフフンッ♩フフンッ♩フフフフフンッ♩フフンッ♩～』

バッハのカノンのメロディーを口ずさみながら

キラキラと輝く石を光に向けて中を覗き込んでいた

此処は、ロシアのモスクワ

もっと詳しくいうなら、モスクワにある

小さな小さな教会

此処は私のお気に入りの場所

別に神を信じているわけじゃない

ただ、この協会にあるステンドグラスからくる

眩しいくらいの太陽光が好きなだけ

教壇から赤い絨毯が教会の入り口まで伸びている

私は、一番光り輝いている場所に座っている

『あ、青い石のも綺麗だなぁ』

最近、私の中でブームな透明な石を太陽光に当てて見つめるだけの遊び

友達なんていない

だから、こうして一人で遊べる遊びを探している

『…ウルド様、まだ会議終わらないのかな…』

一人で居るのは、やっぱり寂しい…

かといって、友達が欲しいわけでもない

私はただ、ウルド様と一緒に居たいだけ

ガチャッ

ーーギイィィィッ

『ん？』

扉の方を見てみると

そこには待ち焦がれたウルド様の姿

『ウルド様！！！』

「帰るぞ」

『うん！！！』

急いで石たちを片ずけて、ウルド様の元へ駆けて行く

置いていかれるから、とか

そう言うんじゃなくて、1秒でも時間を無駄にしたくないから…

入り口で私が来るまで、待っててくれる

優しいウルド様

私はいつも通り、ウルド様の腕に自分の腕を絡める

『何のお話だったの？』

「日本で事件が起こった。私は、その尻拭いでこれから日本へ行く」

『あ……』

私も連れて行って…

「お前もついて来い」

『っ？？！！』

「お前は私だけの家畜だろ」

『っはい！！』

私が言えなかった言葉をウルド様は気づいてくれた

それだけで私は嬉しい

『ウルド様！！』

「なんだ」

『大好きです！！！』

「そうか」

『はいっ！！』

無表情を貫いてるけど

少しだけ…ほんの少しだけ嬉しそうな顔をした

そんなウルド様も大好きなんです

日本か…

良い思い出は何もないな…