赤色のミサンガ 3 (ページ2)

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嫁の寝相を実況してみた。ページ2

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　現在の時刻は午後十一時過ぎ。良い感じに微睡んでいたはずが、Aの腕に顔面を攻撃されて目が覚めたので、暇潰しに彼女の寝顔を眺めつつ寝相を実況しようと思う。

　先程俺を攻撃した腕は布団の上だ。Aの腕といえばその柔らかさが素晴らしい。箸より重いものを持ったことが無さそうなくらい筋肉がなくてふにゃふにゃで抱き締めたら心地好く、良いにおいがするのでつい食べてみたくなる。Aの腕の柔らかさをキープするためにも、引き続き彼女の荷物は一つ残らず俺が持つ所存だ。これは甘やかしではない。私利私欲である。

｢んー……｣

　先程まで仰向けで寝ていたAがひっくり返った。枕にしている俺の腕を容赦なく頭で踏み潰し、ぐりぐりと攻撃してくる。地味に痛い。しかし、俺の腕に頬を潰された寝顔がひよこみたいで可愛いので痛みもすぐに忘れた。思わず手を伸ばして潰れていない方の頬を撫でると、ぷにぷにのふわふわで表情が緩む。すると、Aが頬に触れる異物(という名の俺の指)を振り払うような動きをした。Aに振り払われるという貴重な体験ができるのは、彼女が寝ているときだけだ。無意識下のこととはいえ地味にダメージはあるが。

　Aが俺の顔に向かってのびーっと大きく腕を上げるのを間一髪で避けると、今度はこちらへ寝返りを打った。ぴたっとくっついて心做しか満足そうにしている。

｢かわいい……｣

　思わず声に出てしまったが、Aの寝息は相変わらず穏やかでほっと息をついた。

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