irregularな０番さん。〖🎲〗

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〖you side〗



「最近夏ツアーとかさ俺達忙しいじゃん。

いれいすもVOISING全体的にも凄くお仕事貰ってて、ファンも増えて。
また歌い手グループのオーディションもやるでしょ？」



「そうだね」



会議の前置きを始めるないくんに私は相槌を打つ。



シャーペンを持って、事前に貰っていた「いれいす活動ノート」に記録を始める。
…なんか、今日の空気、重いな。



やっぱり忙しくてピリピリしちゃうか。



「今日重いね、大丈夫？
やっぱり少し休むのも一つの手じゃない？いふもそう…」



「忙しいのもありがたい事やって分かるやろ？」



言動一つ一つがいつもの冗談よりガチっぽくて、心に刺さる。



何事も本音でぶつかりながら語り合えるいれいすだからこそなのだろうか。



誰もが自分を表にして、意見を賽の様に投げ合う。
それが他に無い良い所だと私は思っているし、寧ろ副リーダーとして嬉しい。



「でもさ、体調管理とか。副リーダーとして心配で…」



「そういうさ。ちずるはどうなん？

メンバーばっかり見て自分は疎かになってる気がする。
正直言って副リーダー任せて後悔してるんだよね」



「…ごめん。」



冷静に浴びせられたないくんの言葉にワントーン程低い声で言う。
…私、ひょっとして怒ってるのかな。



「まぁまぁ…」



何を言えば良いか分からない所で、初兎がフォローする。



昼間の割には薄暗い会議室の机に薄く映る私の顔は引き攣っていた。
この１秒が何を言われるか分からなくて怖い。



プリーツスカートを握る手は緊張で震えている。



「ちずるに俺が副リーダー任せたのが馬鹿やったわ」



「確かに。りうらもなんとなく賛成したけどなんか、ね。」



…りうらまでそう言うんだ。



いれいす始まってすぐネットでは有名に。大手からも一目置かれてた。



私のせいで一部からは反感かわれて「女性歌い手嫌われランキング」入り。
私のせいでいれいす全体のイメージを下げてしまった。



あの時のないくんの炎上(？)だって、私が止めずにいたのが悪かった。
そこら辺の管理は一応私だったのに。



今は有名になって手のひら返しされてるけど、忘れてはいない。



『ちずる、ライブの途中で殺してやろうぜ』
『調子乗ってんじゃねぇよ』

『正直、声無理。なんであんなキモいの？』
『声とキャラ作んなよ悪女。』



「ごめん。御手洗い行ってきていい？」

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