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大貴side
"生きていたくない"なんて、本来なら今日初めて会って話した人に言うはずない。
でも、俺の形をしたアンドロイドが教えてくれたから。
『いのちゃんは、すげーいいやつなの!』
目をキラキラさせて、興奮気味に行ってきたのをまだ覚えている。
たった1日2日くらいしか一緒にいなかったはずなのに、アイツからはキリがないくらい話題が出てきた。
話の内容の大半が伊野尾くんで、口癖みたいに"良いやつなんだ!"って。
そんなに良い人なんだ。そして俺のアンドロイドはいのちゃんって人とうまくやっていけてるんだ。
世の中に、俺じゃない"俺"が溶け込み始めるんだと感じてしまった。
本当にもう、自分は必要ないんだと思ってしまった。
望んでおいて、やっぱり怖くなったんだ。
自分の形のアンドロイドが研究所にいる期間は俺は外を自由に歩ける。だから今日だって、夜遅くに散歩がてらコンビニまで歩いていた。
まさかそこで、伊野尾くんに会うなんて思いもしていなかったけど。
『どういうことか、教えてほしい。』
本当は、絶対にアンドロイドの情報を外に漏らしてはいけないという約束がある。
でもそこで、ふと頭をよぎった"死ぬ"ということ。
なんかもう、いいか。アンドロイドの彼が伊野尾くんと打ち解けて始めていたことが俺をますます後ろ向きにさせていた。
こんな世界、俺にはいらない。
俺は、消えてしまったらいい。
そうすれば、あのアンドロイドは"本物"の有岡大貴になる。
俺が満足な生活をしながらどこか窮屈な思いで社宅に住む必要もなくなる。
会社にとっても、アンドロイドにとっても、俺にとっても、Win-Winじゃないか。
無気力で、怠け者のお荷物なんだから。
慧「……これ、"大ちゃん"にもらったの。」
カラカラ、とオレンジのブレスレットが鳴った。
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カシスオレンジ(プロフ) - 空さん» 楽しみにしていただいていたのに、本当にごめんなさい。作者の都合によりお話の続きを書くことが難しくなってしまったため勝手ではありますが作品を削除することにしました。内容が思いついたらまた"忘却の彼方"のようなお話を書きたいと考えています。 (2021年10月27日 18時) (レス) id: 64f54fb5df (このIDを非表示/違反報告)
空 - カシスオレンジ様の小説【忘却の彼方】観覧不可能になっているのですが、もしかして削除してしまったのですか? いつも楽しみに拝見させていただいていたので、ちょっとだけ残念です…。 (2021年10月27日 14時) (レス) id: 1b6fb8d27d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カシスオレンジ | 作成日時:2021年10月19日 15時