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「…遅いですよ」
聞こえてきた足音に降谷が視線を向けると､そこには黒のニット帽を被った男が呼吸を乱してそこに立っていた｡
「……いえ｡…赤井､この事はFBIの誰にも他言無用です｡機密事項だと理解してください」
それだけ言って、降谷は歩を進めた｡
赤井は何か言いたそうにしながらもその後ろをついていく｡
沈黙が降り積もり､しばらく足音だけを耳に響かせる時間が続き､一つの部屋にたどり着いた｡
厳重な管理下にあることが分かる部屋だ｡
部屋の中を見た赤井は､目を見開いて少しふらついた｡
その部屋には､目や腕を包帯で隠された状態のAが寝かされていた｡
「どういうことだ､説明してもらおうか」
降谷のシャツの胸ぐらを掴んで引き寄せる｡
地を這うような声に､流石の降谷も肩を跳ねさせた｡
「FBIの誰にも他言無用､だったな…そこまでこの国の警察が腐っているとは知らなかった…っ！！」
キッと赤井を降谷が睨み､赤井の手首を掴む｡
日本警察を馬鹿にされた｡これは降谷にとって､許しがたい行為であることは赤井も知っている｡
しかし､降谷は目線を下に下ろすと､シャツを掴む赤井の手から自身の手を離した｡
「赤井､FBIには組織のスパイが潜入している｡これは今NOCである僕の持っている情報です｡だから貴方に此処まで来てもらわなければなりませんでした。そうなったのは､…」
僕のミスです｡
静かに､顔を上げて目を合わせて､自分を戒めるように言われた言葉は､赤井が手を離すには充分な言葉だった｡
赤井は知っていた｡
降谷はプライドが高いことを｡
またそれは､悪い意味で捉えられがちであるが､プライドが高いからこそ仕事でのミスはなく､仮にあったとしても､己の非を認め次に生かすことの出来る男だと知っていた｡
プライドが高いからこそ､誰かが目の前で傷付けば､彼自身が何倍もと言うのが烏滸がましいくらいに傷付くことも知っていた｡
また､降谷は分かっていた｡
赤井は誰よりも優しい男であることを｡
またそれはただの優しさよりも深く､温かく､それゆえに感情的になるにはそれ相応の理由があるのだと分かっていた｡
優しいからこそ､こんな取り返しのつかぬミスをおかしてしまった自分を､赤井は試すのだと分かっていた｡
取り繕うことなど､互いを侮蔑するような行為であるのだと､言葉に出さずとも分かっていた。
「…話します､あったことの全てを」
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ユキ(プロフ) - さちさん» コメントありがとうございます｡個人的にとーる君は書いていて楽しいので､この話が一段落しても出てくるかもしれません(￣∇￣*) (2019年3月29日 22時) (
レス) id: 370884fb03 (このIDを非表示/違反報告)
さち - おもしろかったです。続きがすごく気になりました。よろしくお願いします。 (2019年3月29日 22時) (レス) id: 1af3590574 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 奈楠さん» ありがとうございます。学業も忙しくなりますので更新ができない日々もあると思いますが、作品をよろしくお願い致します。コメント嬉しいです(о´∀`о) (2019年3月15日 12時) (レス) id: 370884fb03 (このIDを非表示/違反報告)
奈楠(プロフ) - 受験お疲れ様です！！！作者様のペースで大丈夫ですよ！更新頑張ってください！ (2019年3月14日 21時) (レス) id: f44adf4250 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ - 明里香さん» 教えて下さりありがとうございました!修正しました｡閲覧ありがとうございます｡ (2018年8月3日 7時) (レス) id: 5d51fce380 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユキ x他1人 | 作成日時：2018年5月20日 18時
