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バンッ!!!!
部屋中に響く大きな音に、俺とAは思わず肩を震わせた。
そして二人して次の音に備えたが、部屋は静まり返り、音はなかった。
「今のは…」
「恐らく楓だ。近くにいる」
その声は警戒するものではなく、静かに喜びと困惑のようなものを表しているようだった。
「柊…」
部屋に声が響く。
それは俺のものでもAのものでもない。
そしてその声は静かに小さい声の筈なのに、やけに部屋に響き渡る。
「楓…そこに、いるのだな」
彼女の視線を追って部屋の隅に目をやれば、そこには薄く、部屋の壁が透けて見える状態の、ボロボロの着物を着た少年が立っていた。
足や腕は細く、髪と瞳は彼女と同じ黒だが、髪は傷み、瞳は光を反射できない真っ黒の石のようになっている。
無表情なその顔からは悲しみが伝わってくるように見える。
「…おいで、楓。来てくれないか」
ふるふると首を横に振る楓と呼ばれた少年。
俺が近くにいるからなのか?
でも伊邪那美命から警戒してほしいと言われた以上、この少年が警戒対象であることは変わらない。
Aが腰を上げ、楓に近付いていく。
それと同じように俺もAの斜め後ろにつく。だがこちらが一歩近付くにつれ、楓も一歩、また一歩と後退っていく。
くるりと身を翻して消えようとした楓を、Aが後ろから抱きしめて止める。
Aside
私が抱きしめた楓の体は驚くほど細く、少しでも力を込めれば折れてしまいそうだった。
そんな身体で、私の手から逃れようと藻掻く。
「離せ、離せ馬鹿、俺に触れたらお前は」
「離さない、離すものか!もう二度と…」
私の手の先が黒く染まっていくのが分かる。
きっと無間にいた楓に触れたからだろう。
「っ…柊…」
私の黒く染まった指を見た楓は苦しそうな顔でそう呟いて、ふっと私の腕の中から消えてしまった。それと同時にぐんと身体が重くなり、平衡感覚がなくなる。
目の前の景色がグニャリと曲がり、不安そうに私の名を呼ぶ赤井だけをぐるぐるとする頭の中で唯一理解できた。
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ユキ(プロフ) - さちさん» コメントありがとうございます。個人的にとーる君は書いていて楽しいので、この話が一段落しても出てくるかもしれません( ̄∇ ̄*) (2019年3月29日 22時) (レス) id: 370884fb03 (このIDを非表示/違反報告)
さち - おもしろかったです。続きがすごく気になりました。よろしくお願いします。 (2019年3月29日 22時) (レス) id: 1af3590574 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 奈楠さん» ありがとうございます。学業も忙しくなりますので更新ができない日々もあると思いますが、作品をよろしくお願い致します。コメント嬉しいです(о´∀`о) (2019年3月15日 12時) (レス) id: 370884fb03 (このIDを非表示/違反報告)
奈楠(プロフ) - 受験お疲れ様です!!!作者様のペースで大丈夫ですよ!更新頑張ってください! (2019年3月14日 21時) (レス) id: f44adf4250 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ - 明里香さん» 教えて下さりありがとうございました!修正しました。閲覧ありがとうございます。 (2018年8月3日 7時) (レス) id: 5d51fce380 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユキ x他1人 | 作成日時:2018年5月20日 18時