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手術室からトレッチャーに寝かされた状態で運ばれてきた柊さん｡
麻酔で眠っているものだと思っていたが､柊さんの意識はしっかりとした状態であった｡
「安室さん…これから､個室の病室に入れさせてくれるそうです｡これから多分､昴さんとあの人が来ると思いますから､来たら病室に連れてきてくれませんか?」
平静を装って話しているが､腹部が痛むのだろう｡息を止めて､かすれるような声だった｡
分かりましたと返事をして、運ばれて行くのを見届ける｡
あの人って誰だ?
まさか､謝りに来たという犯人か?
悶々と考えていると､手袋とマスクを外した医者がこちらに来るのが分かった｡
「あの､少しよろしいですか」
「はい」
「貴方が､沖矢さんであっていますか?」
「え?ああ､いえ､僕は安室透といいます｡沖矢さんは今こちらに向かっています｡何故?」
聞き返せば､医者は困ったように言った｡
「麻酔をうったはずなんですが､手術を始めた頃に目を覚ましたんです｡投与した量からして､そんなにすぐに効き目が切れるはずはないんですが…あ､柊さんは出血が多かったので､暫くは病院で絶対安静です」
「そうですか……そろそろ沖矢さんがつく頃かもしれません､それでは」
頭を下げて､病院の廊下を歩いて外に出る｡
沖矢の車が来るのを見て運転席側に駆け寄った｡助手席には黒いパーカーを着てフードを深く被った女｡
恐らくこいつが先程逃げた犯人だ｡
あの人というのは､やはり…｡
「…柊さんは意識も回復し､病室で貴方達を待っています」
「それは彼女の意志で…」
「えぇ｡もし怪しい動きをすれば､僕…と貴方で拘束します」
沖矢は不服そうな顔をしていた｡
仕方ないだろ彼女の希望なんだ､僕だって反対なんだという思いで眉を寄せている横目で沖矢を睨む｡
「…そんな人を殺しそうな目をしたまま彼女に会う気ですか?警戒するのは必要ですが､彼女を怖がらせないで下さいよ」
そう言うと､沖矢の目元が少し和らいだ｡
助手席の女は怯えるように身を小さくしている｡
「何したんだ沖矢」
「…行きましょう､彼女が待っています」
優しげな笑顔が逆に恐ろしく見えたのは､不覚にも助手席の女だけでなく俺もだった｡
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ユキ - 田中。さん» 田中。さんの作品読ませて頂いております!コメント頂けてとても嬉しいです｡琵琶湖をテーマ､というか､近江国を物語に入れたかったんです（笑）コメントありがとうございました､応援しています!! (2018年6月12日 20時) (
レス) id: 5d51fce380 (このIDを非表示/違反報告)
田中。(プロフ) - 琵琶湖という言葉にドキリとしました！これからワクワクしながら読みたいと思います (2018年6月11日 1時) (レス) id: ddae4419b4 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ - ゆうさん» 励みになります､本当に感謝です…! (2018年5月20日 11時) (レス) id: 5d51fce380 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - まさかの和解!予想していなかった展開で驚きました！ゆっくりでいいのでこれからも頑張ってください！ (2018年5月20日 7時) (レス) id: adda87380c (このIDを非表示/違反報告)
ユキ - ゆうさん» いつも読んで下さってありがとうございます!コメントを読む度にほっこりとさせて頂いております｡更新遅くてすみません､これからもこの作品をよろしくお願い致します! (2018年5月12日 17時) (レス) id: 5d51fce380 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユキ | 作成日時：2018年3月27日 18時
