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「やっと会えたと思ったら、またすぐ居なくなっちゃうんですよ!?」
「そうか、それは少しさみしいな」
「心配してるって言っても、危ない事件に首突っ込むから…」

蘭ちゃんは、本当にその工藤新一君という幼馴染みのことを好きなのだなと思う。
でなければ、こんなに怒ってくれないだろうし、不安な顔もしないだろう。
ん?なぜ私が毛利さんと呼んでいないかって?
蘭ちゃんに毛利さんはやめて下さいと言われた為、蘭ちゃん呼びになったのだ。
毛利さんだと、お父さんと一緒になっちゃうかららしい。
蘭ちゃんは本当にかわいいなぁ、と和みつつも、やはり赤井は大丈夫だろうかと思ってしまう。

「柊さん、どうかしましたか?」
「安室さん」

相談したいところだが、今は蘭ちゃんが居る。
蘭ちゃんまで巻き込んではいけない、危険が及ぶかもしれない。
じゃあ、安室さんは?彼にも危険が及ぶのではないか?
安室さんは間違いなく沖矢昴同様格好いい部類に入る人間だ。
もしあの封筒の送り主がそういう人を好んでいる奴なら私個人で探した方が良いのではないだろうか?

「…いや、なんでもない。心配してくれてありがとう」
「いいえ、何かあったら言ってくださいね」
「あぁ、ありが…!?」

どこかから視線の様な…否、殺気のようなものを感じて外を見る。
だが、車が流れていくばかりで、すぐ傍の道路の歩道には誰も居なかった。
気のせいかと思ったが、一瞬でもあんなに見られているような感覚があったのだ。
良く目を凝らしてみていると、反対車線の向こう側に黒のパーカーを着てフードをかぶった人の姿があった。ポケットに手を突っ込んで、足早に歩いていく。

あの人だ。


「…蘭ちゃん、悪いが、急用ができた。詫びと言ってはなんだがこれで好きなものを食べてくれ」
「え、Aさん!?」

テーブルに一万円札を一枚置いて、足早に店を出た。
店を出ると同時に、パーカーを着た人物が歩いて行った方向へ走る。
体格からして女だろうか、パーカーでは正確な判断が出来ない。

路地裏に入っていくその人を追いかけようとするも、その人がいるのは反対車線で、私はこの信号を待たなければならない。
普段ならば変わるのが早く感じられるこの信号が、とても遅く感じた。
変わったと同時に駆け出し、路地裏に真っ直ぐに走った。
幸いそこにはその人がいた。
追いついて肩を引く。

「捕まえ…っ」

腹がジワリと熱くなったのは、肩を引いたのとほぼ同時だっただろうか。

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ユキ - 田中。さん» 田中。さんの作品読ませて頂いております!コメント頂けてとても嬉しいです。琵琶湖をテーマ、というか、近江国を物語に入れたかったんです(笑)コメントありがとうございました、応援しています!! (2018年6月12日 20時) (レス) id: 5d51fce380 (このIDを非表示/違反報告)
田中。(プロフ) - 琵琶湖という言葉にドキリとしました!これからワクワクしながら読みたいと思います (2018年6月11日 1時) (レス) id: ddae4419b4 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ - ゆうさん» 励みになります、本当に感謝です…! (2018年5月20日 11時) (レス) id: 5d51fce380 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - まさかの和解!予想していなかった展開で驚きました!ゆっくりでいいのでこれからも頑張ってください! (2018年5月20日 7時) (レス) id: adda87380c (このIDを非表示/違反報告)
ユキ - ゆうさん» いつも読んで下さってありがとうございます!コメントを読む度にほっこりとさせて頂いております。更新遅くてすみません、これからもこの作品をよろしくお願い致します! (2018年5月12日 17時) (レス) id: 5d51fce380 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユキ | 作成日時:2018年3月27日 18時

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