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何度か朝が来て、何度か夜が来た。
リビングのソファーに力なく腰掛ける私の身体を何時間と見つめても、消える様子はない。
ならばいつ、どうすれば消えるのだろうか。
聞きたくても、伊邪那美はいない。

ピーンポーン、ピーンポーン…

ゆっくりと立ち上がると、くらりと目眩がした。
モニターを見れば、沖矢さんとコナン君。
フラフラと玄関に向かい、扉を開ける。

「こんにちは…」
「こんにち…Aお姉さん、どうしたの!?酷い隈だよ!?」
「あぁ、大丈…」
「大丈夫ではありませんよ」

厳しい口調に、下に向けていた顔を上げれば眉を寄せた沖矢さんがいた。

「寝室はどこですか、連れて行きます」

その言葉を聞いてすぐ、抱き上げようとしてくる沖矢さんを突き飛ばしていた。
だが沖矢さんの力は強く、沖矢さんとの間が少し空いただけだった。

「リビングに娘が居る…入らぬ方がいい」
「僕Aお姉さんの娘さんに会ってみたいな!!」
「駄目だ!!!」

大声を出してしまい、ハッと我に返る。
コナン君と沖矢さんは驚いたようにこちらを見ていた。目を合わせづらくなり、下を向く。

「…コナン君、いずれ分かる事だから言っておく。私の娘は、もう生きてはいない。だから…見ない方がいい」

息を飲むコナン君。
たとえ君が工藤新一という17歳の少年だとしても、遺体をそう簡単に見せたくはないんだ。

「君に…人の死に、慣れて欲しくない」

次の瞬間、視界が暗くなった。
暖房器具とは違う温かさに、わけが分からなくなる。混乱すると同時に何故か安堵する自分がいた。
下がっていく瞼を上げることができないまま、私は意識を手放した。

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ユキ - 田中。さん» 田中。さんの作品読ませて頂いております!コメント頂けてとても嬉しいです。琵琶湖をテーマ、というか、近江国を物語に入れたかったんです(笑)コメントありがとうございました、応援しています!! (2018年6月12日 20時) (レス) id: 5d51fce380 (このIDを非表示/違反報告)
田中。(プロフ) - 琵琶湖という言葉にドキリとしました!これからワクワクしながら読みたいと思います (2018年6月11日 1時) (レス) id: ddae4419b4 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ - ゆうさん» 励みになります、本当に感謝です…! (2018年5月20日 11時) (レス) id: 5d51fce380 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - まさかの和解!予想していなかった展開で驚きました!ゆっくりでいいのでこれからも頑張ってください! (2018年5月20日 7時) (レス) id: adda87380c (このIDを非表示/違反報告)
ユキ - ゆうさん» いつも読んで下さってありがとうございます!コメントを読む度にほっこりとさせて頂いております。更新遅くてすみません、これからもこの作品をよろしくお願い致します! (2018年5月12日 17時) (レス) id: 5d51fce380 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユキ | 作成日時:2018年3月27日 18時

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