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ぐつぐつと煮えるカレーを眺める。
昔と比べて食べ物もいろいろと変化していてどのような食べ物かは知っているが、食べたことはないので自然と好奇心が湧く。

「カレー、お好きなんですか?」
「…食べたことはないので、分かりませんが……」

沖矢さんが杓子でカレーをかき回すと、いい匂いがふわっと広がる。

「もう少し煮込みます、お皿を用意してもらえますか?」

頷いて食器棚を開ける。

『――速報です』

TVの音量が大きいのか、キッチンにまでアナウンサーの声が聞こえてきた。

「煩かったら音量を下げてください。いつもの癖で、こっちにいても聞こえる音量にしてしまっていました」
「いえ、大丈夫で…」
『今日午後4時30分頃、滋賀県琵琶湖から10歳程の女児の遺体が発見されました』

その声に、手に持っていた皿を沖矢さんの元へ置き、すぐにTVの前に走った。

『遺体は白の着物を重ねて着ており、死因は溺死と見られています。腐敗が始まっていないことから、死後間もなく発見されたものと見られており、現在滋賀県警が身元を捜査中です』

私なわけがない。あれから4世紀も経っているんだ。身体も腐敗して、もはや何も残ってはいないだろう。でも今の時代着物を重ねて水に入る子供がいるだろうか。
しかもこんな真冬に。
身元を捜査中としているのならば、なにか理由をつければその顔を見られるかもしれない。

「Aさん?」
「…沖矢さん、すみません。私少し用事が出来ました」

頭を下げて玄関へ向かおうとすると、即座に手首を掴まれた。

「滋賀県へ行くんですか?」
「貴方には、関係のないことです。離して下さい」
「今の貴方は不安定です、行かせるわけにはいかない」
「離せと云っているだろう!」

手を払おうとするも、振り払えない。
こんなにも沖矢さんの力が強いとは思わなかった。どうにか、手を離させないと。

「…心当たりがある、10歳程の女児に。昔忽然といなくなった私の子供が、生きていれば9つのはずだ…私が以前住んでいたのは滋賀県の琵琶湖の近くなんだ、確認しなければならない!」

咄嗟についた嘘だったが、27歳ならば9つになる子がいてもぎりぎりおかしくはないだろう。
沖矢さんの手の力が緩むのが分かった。

「そうですか……では、連絡先を交換しておきましょう。用が済んだら、連絡して下さい」

返されたスマートフォンの電話帳には1.沖矢昴と表示されていた。
頭を下げて、直ぐに工藤邸を飛び出した。

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ユキ - 田中。さん» 田中。さんの作品読ませて頂いております!コメント頂けてとても嬉しいです。琵琶湖をテーマ、というか、近江国を物語に入れたかったんです(笑)コメントありがとうございました、応援しています!! (2018年6月12日 20時) (レス) id: 5d51fce380 (このIDを非表示/違反報告)
田中。(プロフ) - 琵琶湖という言葉にドキリとしました!これからワクワクしながら読みたいと思います (2018年6月11日 1時) (レス) id: ddae4419b4 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ - ゆうさん» 励みになります、本当に感謝です…! (2018年5月20日 11時) (レス) id: 5d51fce380 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - まさかの和解!予想していなかった展開で驚きました!ゆっくりでいいのでこれからも頑張ってください! (2018年5月20日 7時) (レス) id: adda87380c (このIDを非表示/違反報告)
ユキ - ゆうさん» いつも読んで下さってありがとうございます!コメントを読む度にほっこりとさせて頂いております。更新遅くてすみません、これからもこの作品をよろしくお願い致します! (2018年5月12日 17時) (レス) id: 5d51fce380 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユキ | 作成日時:2018年3月27日 18時

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